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ブックマーク / econ101.jp (37)

  • ノア・スミス「なんで Twitter にいるアメリカ人学者たちはあんなにヤな奴なの?」(2024年7月1日)

    Prashant Garg & Thiemo Fetzer の愉快な共著論文が新しく出てきた.主題は,Twitter で投稿してる学者たちについて.著者の Garg が研究結果を要約してる連続ツイートをこちらで読める.一般に,学者たちは読者が予想してるとおりの人たちだ――世間一般の人たちに比べると,より合理的で,それほど回りにとって厄介な人じゃなくて,それほど自己中心的でなく,社会主義寄りで,文化面ではより自由尊重で,気候変動についての懸念が強い: Source: Garg & Fetzer (2024) でも,それは他のいろんな国々の人たちもふくめた学者全般の話だ.アメリカの学者たちは,ヨソの学者たちとはちょっとばかりちがってる.アメリカの学者たちは有意に自己中心的で厄介で感情的な度合いが高い: Source: Garg & Fetzer (2024) どうしてアメリカの学者たちの方がひ

    ノア・スミス「なんで Twitter にいるアメリカ人学者たちはあんなにヤな奴なの?」(2024年7月1日)
  • ノア・スミス「ベーシックインカム研究でさらにがっかりな結果」(2024年7月23日)

    3週間前の記事で,デンバーで行われたベーシックインカム・プロジェクトから得られた少々がっかりな研究結果に注目しておいた〔日語版〕.さて,今度は,イリノイ北部とテキサス中部で実施されたはるかに巨大で長期的なベーシックインカムの無作為化対照実験の研究結果が出てきた.Vivalt et al. の論文から,主な研究結果の要旨を引用しておこう: 研究では,所得の変化が原因となって人々の雇用に関わる多種多様な項目に生じた影響を検討する.そのための実験として,低所得の個人から無作為に対象者を1,000名選出し,無条件に1ヶ月あたり 1,000ドルの現金給付を3年間続けた.また,対照群として,2,000名の参加者を選出し,1ヶ月に 50ドルの給付を続けた.研究では,詳細な調査データ・行政記録・専用スマホアプリからのデータを収集した.現金給付によって,対照群に比べて給付を除外した個人所得の総額は 1

    ノア・スミス「ベーシックインカム研究でさらにがっかりな結果」(2024年7月23日)
  • ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)

    移民受け入れを支持する人間として,ぼくは懐疑的な人や批判的な人に耳を貸すようにつとめてる.どんな国にも,自らがのぞむならどんな人間でも招き入れる権利がある――あるいは,入国を拒否する権利がある.移民の流入で自分たちの文化が変わってしまうのを人々が心配しているなら,それは完璧に許容されるべき態度だ. ただ,それと同時に,移民流入制限派の人たちは移民受け入れにともなう経済的な害悪をあれこれとたくさん主張している――賃金低下,政府財政への負担,などなど.それでいて,そういう主張はずっと証拠と矛盾しつづけている. たとえば,多くの証拠から,移民流入は――低技能移民の流入ですら――現地生まれの人たちの賃金や雇用の見通しに悪影響を及ぼしていないことが明らかになっている〔日語版記事〕.最近出た Michael Clemens & Ethan Lewis の論文を見てみると,この研究はとても「きれい」な

    ノア・スミス「移民流入の害は,いっこうに実証に現れない」(2024年5月10日)
  • ノア・スミス「気候変動をよく理解したいならグラフをいろいろ見てみることだ。解決するのに脱成長なんか必要ないよ」(2024年2月13日)

    気候変動に取り組むうえでの大きな困難の一つは、世の中に悪い情報源が蔓延していて、悪質な情報もばらまかれていることだ。左派の気候変動活動家たち(気候変動問題について何かしようと自身の時間と労力を費やす傾向が最も強い人たち)は、「100社の企業が世界の排出量の70%を引き起こしている」とか「10%の富裕層が排出量の半分を占めている」といった馬鹿げた主張をする疑似左派的な情報を入手してしまいがちだ。それから右派。彼らは、以前だと気候変動を否定することにやっきだったけど、最近になってグリーンエネルギーへの巨大な不信感(金融関係者を除けば、グリーンエネルギーは「恐怖、不確実性、疑わしい」)を煽り立てている。こうしたとりまく事象から、クタクタになってしまうんだ。結果、多くの人たちが、気候変動への議論を避けがちになってるんだと思う。 こうした状況には、当にイライラしてしまう。世の中には、当にたくさん

    ノア・スミス「気候変動をよく理解したいならグラフをいろいろ見てみることだ。解決するのに脱成長なんか必要ないよ」(2024年2月13日)
  • ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)

    通説では,1990年にかの不動産バブルがはじけてから日は「失われた○十年」に苦しんできたという話になっている.実のところ,一人あたり GDP を見ると,他の豊かな国々にくらべて日の実績が見劣りしはじめた起点は1990年ではなく1997年に思える.97年といえば,アジア金融危機のあった頃だ. この「失われた○十年」論に対して典型的に向けられる反論では,こう語られる――日が停滞しているように見えるのは,大半が人口の高齢化によるものであって,実際の生産性で見ると日は2000年頃から問題なくやっている.新しく出た Fernandez-Villaverde, Ventura, & Yao の論文は,こう主張している: 多くの先進諸国では,この数十年で,高齢化にともなって,一人あたり GDP成長と労働年齢の成人一人あたり GDP 成長のちがいは大きくなってきている.日のように一人あたり GD

    ノア・スミス「1997年から日本経済がどれほど不調だったか」(2023年11月26日)
  • ジョセフ・ヒース「アメリカの多文化主義は矛盾を抱え込んでいる」(2023年9月23日)

    Multinational culture isometric composition with people of different races and nationalities in folk costumes vector illustration しばらくアメリカに在住していたが、人種的正義を求める闘いで公理となっているものは、現実的な解決策となっておらず、逆に人種間の対立を世代をまたいで再生産してしまっていると思った。これをアメリカリベラルは理解できておらず、多くの逆効果(マイノリティ・グループの一部を共和党の掌中に追いやっている等)を生んでいる。このエントリは、そう確信するに至った分析を極めて簡潔にまとめるのを目的にしている。他の場所や、今後のエントリで、この立場を裏付ける様々な論拠を示す予定だが、今回はひとまず、この私の見解がどのようなものか知ってもらうために、分かりや

    ジョセフ・ヒース「アメリカの多文化主義は矛盾を抱え込んでいる」(2023年9月23日)
  • ノア・スミス「実際のところ日本はどれくらい同質なの?(再投稿)」(2023年8月1日)

    再投稿のまえおき――日に(また)向かう空の便で,今日はトランジットにいる.そこで,このサブスタック初期に書いた日関連の記事をひとつ再投稿しよう.移民流入ブームから観光ブームのあいだに,近年,日はずっと国際的になっている.とくに東京と京都がそうだ.ただ,世の中の人たちが思っているほど日が同質だったことは一度もない.「日はなんらかの意味で人種的に純粋で,外国人嫌いで,閉鎖的な国だ」という考えに立脚して日は同質だと捉える見解は,どれもずいぶんな戯言だ.今回も,そういう考えを抱いている人を見かけても訂正してあげない方がいいかもしれない.ホントのことを知っちゃったら,日に行きたがる人がさらに増えちゃうかもしれないからね! それは「同質」の定義しだいだね もうね,あともう一度でも「日は同質な社会だ」とか聞かされたら,憤慨するままに一記事を書いちゃうよ.というか,これがその記事か. ア

    ノア・スミス「実際のところ日本はどれくらい同質なの?(再投稿)」(2023年8月1日)
    cu39
    cu39 2023/09/10
  • ノア・スミス「うん,もちろん TikTok は禁止すべきだよ」(2023年3月20日)

    武器に転用された相互依存を減らす トランプが試みて失敗したことを,いまバイデンと議会が試みている:中国企業が所有している動画アプリ TikTok の強制的な禁止だ.親会社の ByteDance が同アプリをアメリカ企業に売却しないかぎり,アメリカ国内での運営を強制的に停止しようと,バイデンたちは試みている.これには理由が2つある.そして,そのどちらも,「アメリカの子供たちの注意力が下がるのを防ぎましょう」とか「アメリカ企業を競争から救いましょう」といった話と関係がない. TikTok禁止に動いている理由は次の点にある: TikTokアメリカ人ユーザーたちに関するデータを中国共産党に送信していて, しかもTikTok はおそらく中国寄りの検閲を受けており,アメリカ人ユーザーたちが中国共産党のさまざまな目標を支持するように誘導しようと試みている. ごく簡潔に,それぞれの理由について話そう.

    ノア・スミス「うん,もちろん TikTok は禁止すべきだよ」(2023年3月20日)
  • ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)

    By 稲ノ歯鯨 – Own work, CC BY-SA 4.0 2020年代は1990年代とはちがう BBC の東京特派員ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズが書いた,日についてのエッセイが広く話題になってる〔日語版〕.ぼくも読んでみたけれど,ひどくいらいらしてしまった.このベテランジャーナリストは――2012年から日に暮らして働いたすえに――日の印象をまとめている.彼によれば,日は停滞して硬直した国で,「ここに来て10年経って,日のありようにもなじみ,次の点を受け入れるにいたった.日は,変化しそうにない.」 でも,日に暮らしたことがあって,2011年以降も年に1ヶ月間ほどここに来て過ごすのを繰り返してる人物として,そして,日経済についてかなりの分量を書いてきた人物として言わせてもらえば,日はまちがいなく様変わりしてる.すごく目につきやすくて重要なところがあれこれ

    ノア・スミス「実は日本は様変わりしてるよ」(2023年1月23日)
  • ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)

    [Noah Smith, “The weak yen is an opportunity,” Noahpinion, November 24, 2022] じゃあ,なんで日はその好機を利用してないのさ? ぼくが日にはじめて暮らしたのは,2000年代中盤のことだった.当時,円の値打ちはすごく覚えやすかった――だいたい,1ドル=100円だったからだ.どんなものでも,日で値札を見かけたら,頭の中で100で割ってやればだいたいどれくらいの値段なのかつかめた. 「1ドルだいたい100円」為替レートの時代は,約30年続いた.そして,2022年3月に,なにかがブツンといった.円が下がりはじめて,10月には少しのあいだとはいえ1ドル150円にまで下がって,それから1ドル140円にまで少しもどした: Source: Xe.com ドルにかぎらず,日の実質為替レートはあちこちの貿易相手国に対しても下が

    ノア・スミス「弱い円は日本にとって好機,なんだけど」(2022年11月24日)
  • ノア・スミス「日本の生活水準,低すぎ」(2022年5月24日)

    [Noah Smith, “Japan’s living standards are too low,” Noahpinion, May 24, 2022] 働きづめでも報われない国 日からこんにちはこんにちは! 2週間の旅行でこっちにきてて,せっかくだから日について何か記事を書こうと思う.まずは,経済の話からはじめよう. たいていの人たちが日について最初に気づくのは,各地の都市がいかにすばらしいかってことだ.とりわけ東京は,現代の驚異だ.キレイに刈り込まれた木々に取り囲まれて,設計のしっかりしたぴかぴかのビル群がそびえたっている.レストランやお店や各種の娯楽は目眩がするほど数知れず,どれもこれもすばらしい.どこも混み合ってるけれど,それでいていつもなぜか静謐を感じさせる.そして,ほんの数分歩けば電車の駅にたどり着いて,そこからどこでも必要な場所に向かえる.他のどんな国もおよばない

    ノア・スミス「日本の生活水準,低すぎ」(2022年5月24日)
  • ノア・スミス「輸入は GDP から差し引かれないよ」(2022年4月29日)

    [Noah Smith, “Imports do not subtract from GDP,” Noahpinion, April 29, 2022] 経済ジャーナリズムでいちばんありがちなまちがい 今朝,『ニューヨークタイムズ』を読んでたら,こんな話が目にとまった――2022年の第1四半期にアメリカの GDP が減少したのは,輸入が増えたせいなんだって: 他方で,ますます膨れ上がった貿易赤字によって,第1四半期に GDP 成長が3パーセントポイント以上も下がった.国外で生産されているので,輸入は国内総生産 (GDP) から差し引かれる.そして,アメリカの消費者たちが支出をしつづけるなか,この数ヶ月で,輸入は急増している.だが,GDP に加算される輸出は伸び悩んでいる.ひとつには,海外での経済成長が低調なためだ.(太字強調はノア・スミスによるもの) 太字にした箇所は,正しくない.というか

    ノア・スミス「輸入は GDP から差し引かれないよ」(2022年4月29日)
  • タイラー・コーエン「ボットの方が自分よりうまくやるようになる日」(2022年4月10日)

    [Tyler Cowen, “When your bot is better than you,” Marginal Revolution, April 10, 2022] やがて,文章でのやりとりのほとんどはボットにおまかせするようになるだろうと,ぼくは予想してる. いままでに書いたメールやらいろんな文章をぜんぶ読ませてボットを訓練してやればいい.いつか,ぼく宛てに来たメールの大半に,ボットが直接返信してくれるようになるだろう.たまに,一部のメールについては,個人的に返信する意義があるかどうかをぼくにボットが確認とることもあるだろう. これは便利そうに聞こえるし,いろんな点で実際に便利になるだろう.お散歩に出かけたりを読んだりする時間は増えるはずだ.ただ,もっと広い均衡について考えておこう.ボットがさばくメールが増えていけば,ボットによって書かれるメールも増えていく.もちろん,すでにそ

    タイラー・コーエン「ボットの方が自分よりうまくやるようになる日」(2022年4月10日)
  • ブランコ・ミラノヴィッチ「ロシア経済の展望:まずは短期について」(2022年3月12日)

    [Branko Milanovic, “Russia’s economic prospects: the short-run,” Global Inequality and More 3.0, March 12, 2022] これから,前後編にわけて,ロシア経済の短期と長期の見通しを考える. まずは,短期から考えよう.ここでは,次の想定にもとづいて考察をすすめる.まず,「ウクライナでの武力戦争は数ヶ月で終わる」(つまり,現状のように激しいまま何年も戦争が続かない).そして,「クーデターや革命といったかたちでロシア内部に劇的な変化は生じない」. 短期での各種影響の問題に答えるにあたっては,経済的な低下・衰退をひととおり見ておくのが有益だ.残念ながらも,ロシアは循環的な経済史のおかげでそうした低下・衰退の実例をいくつか提供してくれている.過去100年間で生じた所得低下のなかでもとりわけ悲惨だっ

    ブランコ・ミラノヴィッチ「ロシア経済の展望:まずは短期について」(2022年3月12日)
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    cu39 2022/03/14
  • ラジブ・カーン「日本人の主なルーツは縄文人や弥生人ではないかもしれない:日本人は西暦以降に登場した」(2021年9月18日)

    The Japanese As A Creation Of The Christian Era POSTED ON SEPTEMBER 18, 2021 BY RAZIB KHAN 日は、弥生人と縄文人の統合体であり、弥生人が優位になって列島に稲作をもたらした、というのがこのブログでも以前に言及した伝統的な解釈である。しかしサイエンス誌に掲載された新しい論文によるなら、もっと複雑かもしれない。 古代のゲノム解析は、日人個体群に3つの起源があることを明らかにする。 先史時代の日は、3000年かけて、狩猟採集から始まり、水田での稲作、そして国家の形成へと急速な変化を遂げた。列島の日人個体群は、狩猟採集を行っていた縄文人と、農耕民の弥生人の二重の先祖を持つ、との仮説が長年受け入れられてきている。しかし、農耕民族の移動とそれに伴う、社会文化の変化がどのようにゲノム的影響を与えたのかは依然不

    ラジブ・カーン「日本人の主なルーツは縄文人や弥生人ではないかもしれない:日本人は西暦以降に登場した」(2021年9月18日)
  • タイラー・コーエン「人口から規制が予想できる――けど,なんでだろ?」(2021年5月21日)

    [Tyler Cowen, “Population predicts regulation — but why?” Marginal Revolution, May 21, 2021] 全米の州で,人口規模が2倍になると規制が 23%~33% 増える. 〔※ヨコ軸は2000年時点の人口(百万),タテ軸は2018年時点の規制総数(千)〕 この規制と人口の相関は驚くほど頑健だ――オーストラリアの州でもカナダの州でも成り立っているし,限られたデータにもとづいて言えば,さまざまな国々どうしにも成り立っているらしい(たとえば,「自由市場」の合衆国の方が,カナダよりも規制が10倍多い――そして,人口も10倍だ) 相関ははっきりしている一方で,この相関がそこまで強い理由はそんなにはっきりしない.Mulligan & Sheifer の研究では,その理由を規制の固定費に求めている:つまり,政体の規模が大き

    タイラー・コーエン「人口から規制が予想できる――けど,なんでだろ?」(2021年5月21日)
  • サイモン・レン=ルイス「なぜ西洋諸国の大半はパンデミックでこれほど失敗したのか」(2021年5月4日)

    [Simon Wren-Lewis, “How most of the West got the pandemic so badly wrong?” Mainly Macro, May 4, 2021] 近頃は,そうそう大したことでは驚かなくなっている私だが,OECD 諸国の大半が今般のパンデミック対応で失敗したのには愕然とした.とはいえ,ジョンソンのイギリス,トランプアメリカ,ボルソナーロのブラジル,モディのインドの成り行きに愕然としたわけではない.こうした国々が失敗する理由は,あまりに歴然としていた.なにより,パンデミックが始まる前から,「イギリスは人命を救うために経済を制限することから手を引く国になるべきだ」と,ジョンソンは考えていた.そうすることで,イギリスは世界経済でなんらかの大きな優位を得られるだろうというのが,彼の思惑だった.これによって国民保健サービス (NHS) が陥っ

    サイモン・レン=ルイス「なぜ西洋諸国の大半はパンデミックでこれほど失敗したのか」(2021年5月4日)
  • ノア・スミス「バイデノミクス解説」(2021年4月3日)

    [Noah Smith, “Bidenomics, explained,” Noahpinion, April, 2021] これはレーガン時代の終わりだ.でも,話はそれで終わらない. “Joe Biden” by Gage Skidmore, CC BY-SA 2.0 「1つ目の調合法でうまくいかなかったら,調合法を変えるんだよ」――エイリン・ハンソン 「『大きな政府の時代は終わった』は終わった」――ジェイムズ・メドロック 我ながらいかにも Vox っぽいタイトルだとは思うけれど,ここではバイデンの新たなインフラ投資プランを項目ごとに「ここがこうなっていて」と解説していくつもりはない.そういうのがおのぞみなら,物の Vox 解説を読みに行くといい.あるいは,『ワシントンポスト』の Jeff Stein et al. によるいつもどおり華麗な文章でもいいと思うよ.また,ブラッド・デロング

    ノア・スミス「バイデノミクス解説」(2021年4月3日)
  • タイラー・コーエン「韓国の最低賃金引き上げ」(2021年1月22日)

    [Tyler Cowen, “The South Korean minimum wage hike,” Marginal Revolution, January 22, 2021] 法定最低賃金の大幅引き上げがもたらした影響に関する,論争を呼びそうな研究が火曜に公表された.来年度の標準賃金を決める交渉が行われているさなかでの公表で,雇用主と従業員の対立を呼びそうだ. 2018年に,低所得労働者たちの賃金水準〔最低賃金〕が 〔前年比で〕16.4パーセント引き上げられた.これが及ぼした影響を分析した韓国経済研究所の研究者たちによれば,多くの低賃金雇用が消失した一方で,すでに雇用されていた人々はより高い給与を享受している.同研究所は,韓国のトップ企業ロビーである the Federation of Korean Industries とつながりがある. 最低賃金は年度ごとに更新される.現在のレー

    タイラー・コーエン「韓国の最低賃金引き上げ」(2021年1月22日)
  • アントン・ハウズ「国家の作り方:中世イギリスに王として転生したあなたは、近代国家を作ることができるだろうか?」(2020年8月28日)

    How to build a state Words by Anton Howes, Works in progress, 28th August 2020 歴史を通じて、国家は、権力の維持に苦闘している。資金を調達したり、市民を統治するためには、民間の護衛官 [1]訳注:主に近代国家以前に、国家によって限定的に権力を与えられた準官吏や民間人のこと や〔民間人の〕用心棒に頼らざるをえなかったのだ。国家は、どのようにして今日の形態に移行したのだろう? 人は、政府が今日のような官僚制度をずっと昔から備えていたと簡単に想定してしまう。17世紀における〔特定利権者への〕独占権の広範な付与や、強大な権力を備えた領土保有貴族のような政治制度は、今より腐敗していた単なる時代遅れの異物のように見えているだろう。19世紀半ばになるまで、政府が医療や教育にほとんど関与していなかった事実は、人々の脳裏からは欠落

    アントン・ハウズ「国家の作り方:中世イギリスに王として転生したあなたは、近代国家を作ることができるだろうか?」(2020年8月28日)