経済政策で安倍カラーは薄れていく 9月29日の自民党総裁選で岸田文雄氏が決選投票を制し、新総裁に選出された。10月4日に召集される臨時国会で衆参両院による首相指名選挙が行われ、同日中に岸田内閣が発足する。 新政権の経済政策では、金融市場の安定を維持しつつ、成長戦略を通じて日本経済の潜在力を高めることを期待したい。それこそが、国民の生活向上にとって最も重要なことだ。 憲政史上最長となった安倍前政権の下での経済政策は、第1の矢である金融緩和、第2の矢である財政出動に過度に依存したものとなった点が問題だった。それは金融市場の安定を損ね、また経済の潜在力を低下させた可能性もあるからだ。 他方で、その任期中は日本の潜在成長率、労働生産性上昇率は一貫して低下傾向を辿り、第3の矢である構造改革、成長戦略は十分な成果を上げられなかった。潜在成長率の低下は、企業の投資を慎重にさせ、さらなる潜在成長率の低下を
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