昨年4月、建設作業に従事していた当時23歳の現場監督が自殺し、その過酷な労働環境が大きくクローズアップされた、2020年東京五輪の新国立競技場。 「自殺前の1ヵ月間の残業時間は、過労死ライン80時間を優に超える212時間。新人にもかかわらず、ベテランの現場監督でもこなしきれないほどの仕事を抱えていたようです」(全国紙社会部記者) 完成予定の19年末まで、延べ200万人の作業員が投入される見込みの巨大工事は現在、「最大のヤマ場」ともいわれる、屋根部分の建設作業に差しかかっている。 今、現場では何が起きているのか。作業員たちが明かす。 * * * ―初めに、皆さんが担当されている現場の作業内容について、簡単に教えていただいてよろしいでしょうか。 現場監督・高石さん(仮名。以下、現場監督) 新国立競技場の現場は土木工事、鉄筋工事、清掃施設管理など、約30のセクションに分かれているんですが、私は旧