民主社会を支える公共財の破壊につながりかねない。 イーロン・マスク氏に買収されたツイッターが迷走している。象徴的なのは、トランプ前米大統領のアカウントを復活させたことだ。昨年1月の米連邦議会議事堂襲撃を巡り、暴力を扇動しかねないとして「永久凍結」していた。 利用者にネット投票で復活の是非を尋ねたところ、賛成51・8%、反対48・2%という結果だった。僅差にもかかわらず、マスク氏は「民の声は神の声」と述べて復活を正当化している。 だが、こうした決め方には疑問がある。 そもそも凍結はツイッター自身が決めたものだ。言論空間から利用者を排除する重い判断だった。覆すのであれば、公正な基準に基づき、十分に議論するのが筋だ。 マスク氏は、投稿管理のあり方を話し合う評議会を設けるまで重要な決定は行わない考えを示していた。そうしたプロセスを経た形跡は見られず、説明も不十分だ。 言論の自由は守られなければなら