文章には、大きく分けて「350円のハンバーガー」みたいな文章と、「2万円のフィレステーキ」みたいな文章がある……。そう語るのは、ライター・田中泰延氏だ。いったい、どういう意味なのか? 共著『「書く力」の教室』で田中氏に弟子入りをした直塚大成氏とともに、「いい文章」と「悪い文章」の違いについて考える。 いい文章とは「静かな文章」である 直塚:今、エッセイを書いている中で、いろんな人のエッセイを読む意識も以前とは変わりました。そこで不思議に思っているのが、内容そのものとは関係なく「なんか心地いいな」と思うときと、「よくないものを読まされたな」と思ってしまうときがあることです。田中さん、いい文章と悪い文章って何が違うんでしょう? 田中:読んだときの感触という点でいえば、いい文章とは「静かな文章」です。 文章には、大きく分けて「350円のハンバーガー」みたいな文章と、「2万円のフィレステーキ」みた