五輪公園内にあるカリオカアリーナ、日の丸の旗がスタンドを埋める会場で、君が代が3回流れた。3階級すべてで決勝に進み、そろって終了間際の劇的な逆転優勝。隣の米国人記者は両手を広げて驚き、次の瞬間に大声で笑いだした。日本の金メダル独占を素直に喜びながらも、女子レスリングの危機を感じた。 「世界一」と自負する日本選手の練習は、確かに驚異的だ。練習中はノンストップ。数多くの競技を取材してきたが、これほど密度の濃い練習は他にない。また、いち早く女子強化に取り組み、五輪採用に尽力した日本協会トップの功績も大きい。選手や指導者、関係者の努力の産物としての金メダルだから、心から祝福したいとは思う。 ただ、女子レスリングという競技を考えれば、金メダル独占は手放しでは喜べない。決勝の対戦相手は、いずれも五輪や世界選手権の表彰台の常連。選手層が薄いから、顔ぶれが変わらない。伊調は「4連覇を狙えるのは、そういう(