チッコカタメターノ。そう呼ばれる料理、正確に言えば食材がある。 おしゃれなイタリア料理のようだが、そうではない。 千葉県でも房総半島南部の安房地域(鴨川市、南房総市、館山市、鋸南町)で酪農家が食べてきた土着性の高い郷土料理だ。 どのようなものなのか。 牛乳の“濃くて甘い香り”が鼻に抜ける 母牛が出産してから5日間の「初乳」は成分が濃いので出荷できない。「もったいないから自家消費しよう」と酪農家が固めて食べたのが、チッコカタメターノだ。 作り方は難しくない。鍋で温め、沸騰する前に少し酢を入れる。すると牛乳の成分が固まって、汁(乳清、ホエーとも言う)と分離する。ザルなどで濾(こ)し、固形化させたら出来上がりだ。 そのものをプレーンで食べてみた。白くふわふわとした見た目だが、意外に硬く、箸で切ろうとしても、市販の豆腐のようにはいかない。口に含むと、牛乳の濃くて甘い香りが鼻に抜ける。酸味はない。噛