Published 2022/07/19 11:00 (JST) Updated 2022/07/20 12:51 (JST) 「殺人しようと思ったことはない。死んでくれたら楽だな、とは思った」 祖母=当時(91)=をあやめた罪に問われた孫の男(37)の声が、法廷に静かに響いた。認知症の祖母の介護を担い、精神的に追い詰められて及んだ凶行。たった1人で介護を続けた理由を裁判で問われ、男はつぶやいた。「自分が介護するってばあちゃんと約束したから」 昨年5月、島原市内の自宅で祖母を殴るなどして殺害した男に対し、長崎地裁は今月6日、執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。事件当時、男が精神障害を発症していたことを踏まえた判断だった。公判で男は犯行に至った経緯を供述。検察側、弁護側双方の立証を通じ、男が精神的に追い詰められていった経緯が浮かび上がった。 ◇ 幼い頃に両親が離婚。母が女手一つで、姉と男を育