「完本 小林一茶」井上ひさし 中公文庫 2020 (初演は1979年) 面白い! 面白い! 面白い! 再演したら見に行きたい!!! 最高すぎた。ほんとうに、井上ひさしはバケモノだ。 いくらなんでも勉強しすぎだし、趣向をもりこみすぎだし、ことばが豊穣すぎですよ! けれどそういう異常性(そこが好き)が後景に退いてしまうくらい、圧倒的に面白い。グイグイ引き込まれて、大笑いして、あっと驚いて、ホロリとさせる。ああ、なんていい芝居を見たんだという気持ちになる。 井上は「後口上」で芝居の魅力について次のように語ってゐる。 つまりわたしたちの表情は鎧なのです。その下に本心を隠している。その鎧もよほど頑丈でないといけない。さもないと、だれかに本心を見抜かれてしまいますからね。外に出ると自分の本心がだれかに見破られてしまうと恐れる気持が広場恐怖症の原因だと、むかし精神科のお医者さんから聞いたことがあります。