さて、前回の続き。アウシュビッツに行った話です。 私達が記録フィルムで見る、やせ細った、ガイコツのような収容者の写真がたくさん見られるのかと思ったのですが、残酷な展示はずいぶん抑えられていました。同時にヒットラーの写真も、ほんの少しでした。 それは、「すべてをヒットラーのせいにして、残酷な描写を見せること」に意味がないんじゃないかと思われるようになったからです(かつてはそういう展示だったのです)。 アウシュビッツは、ヒットラーという狂人が作り上げたものではない。なぜなら、ヒットラーは、ドイツ国民の33%の支持によって政治の表舞台に登場したのだから。アウシュビッツを用意したのは、当時のドイツ国民とも言えるのではないか。ヒットラー一人を悪者にして片づく問題ではない、と人々は考えるようになったのです。 同時に、センセーショナルな展示も控えるようになりました。 それでも、収容棟の内部では、「うず高
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