もうずいぶん以前の話だが、ある会社で新卒学生の採用面接を担当していたことがある。 面接では70~80名の学生とお会いするので、個性的で魅力的な若者に会える事も多く、毎年とても刺激的な仕事だった。 中には特別な才能で日本一になった学生や、大学の成績がオール「優」であった学生。逆に、緊張しすぎて最後まで名前も言えなくなってしまった学生もいたことなど、悲喜こもごもの思い出は尽きない。 そんな中で1人、私には忘れられない学生がいる。 人を採用すること、面接をすることの意味を再確認させてくれた、とても貴重な経験をさせてくれた学生さんだ。 面接のことなので詳細はぼかしながら、あるいは必要に応じて事実関係を特定できない内容に置き換えながらお話することを、どうかお許し願いたい。 彼は、性同一性障害(もしくはトランスジェンダー)を明らかにした上で、当社の面接を受けに来てくれた学生さんだった。 具体的なお話を