『夕暮れもとぼけて見れば朝まだき ノッポさん自伝』(高見のっぽ/岩波書店) 幼い頃の記憶はなぜこんなにも鮮明なのだろうか。普段は忘れてしまっているのに、子どもの頃見ていたテレビ番組の主題歌のイントロが流れてくると、何も考えなくても自然に歌詞が口をついてスルスルと出てくる。ワクワクしながらかじりつくようにして見ていた大好きな番組には、僕たち、私たちの夢がぎゅっと詰まっていた。まがりなりにも立派な大人になってしまった私たちが「小さい人」と呼ばれていた時代、ずっとずっと、テレビの向こうから私たちを愛してくれていた人がいた。 『夕暮れもとぼけて見れば朝まだき ノッポさん自伝』(高見のっぽ/岩波書店)の著者は、NHK教育テレビで1967年から20年以上にわたり放映されていた『なにしてあそぼう』、『できるかな』に出演していた「ノッポさん」。スラリとした180センチ超えの長身とモノづくりを通した、言葉な