先日発表された2013年の映画興行収入ランキングで、見事ナンバーワンに輝いた『風立ちぬ』。これが宮崎駿監督の引退作となってしまったが、「短編でいいから新作が早く観たい」という声も相変わらず根強い。 そんな宮崎作品の魅力を解き明かしているのが、12月4日に発売された『好きなのにはワケがある 宮崎アニメと思春期のこころ』(岩宮恵子/筑摩書房)。本書では、臨床心理士である著者が数々の宮崎作品を分析。なぜ宮崎アニメに惹かれてしまうのかを、思春期の心の動きをもとに解読しているのだ。 たとえば、『千と千尋の神隠し』の冒頭で登場する、主人公・千尋の両親がブタになってしまう衝撃のシーン。実際に親がブタになってしまうようなことは絶対にないし、普通に考えればコミカルな場面なのに、なぜかトラウマ級の恐怖を覚えた人も多いはず。だが、じつはこのファンタジックなシーンも、現実の子どもの心と照らし合わせて考えてみると、