『ルポ 思想としての朝鮮籍』(中村一成/岩波書店) 日本で暮らす「朝鮮籍」者は大韓民国の国籍所有者ではないことから、便宜上旅券の申請などは朝鮮総連が窓口になっている。だからなかにはDPRK(朝鮮民主主義人民共和国=北朝鮮)の旅券を持つ者もいることはいるが、「朝鮮籍」とは北朝鮮国籍を指すものではない。『ルポ 思想としての朝鮮籍』(中村一成/岩波書店)の前書きにも、このように記されている。 「朝鮮籍」、それは、植民地時代、皇国臣民として戦場にまで動員した朝鮮人を、敗戦後、「外国人」として無権利化する際、外国人登録証明書の国籍欄に記された「地域の総称」である。 韓国にもDPRKにも国籍が帰属しない彼らの身には、不便と不自由がつきまとう。真っ先に挙げられるのは日本を出国する際の手続きが煩雑なことと入国が困難な国があること。そしてDPRKが何か起こした際、悪意の矢面に立たされてしまうことだ。 それで