『お客様、そのクレームにはお応えできません!』(三浦展/光文社) 春の引っ越しシーズンが一段落するこの季節。転勤や初めての一人暮らしで不動産屋のお世話になった人もいるのではないだろうか。 不動産屋といえば客の要望に合った部屋を探して、案内をして、契約の手続きをするのが仕事だと思われがちだが、それだけではない。大変なのは入居が始まってから。 『お客様、そのクレームにはお応えできません!』(三浦展/光文社)はベストセラーとなった『下流社会』の著者による初のフィクション小説だ。不動産屋への豊富な取材をもとにした物語の主人公は新宿にある不動産屋フレンズホームの賃貸部門の女店長滝山玲子。42歳。彼女が管理するアパートやマンションの客からは次々に思いもよらぬクレームの電話がかかってくる。 えっ? こんなことまで……困ったクレーマーたち トイレットペーパーホルダーのネジがゆるんだ。部屋に幽霊が出る。些細