『PTAという国家装置』(岩竹美加子/青弓社) PTAの存在意義が疑問視されている。「ボランティア活動のはずなのに義務的責任を負わされるのは、なぜ」「そもそもPTAに加入した覚えはない」など、さまざまな反発の声が各地で起こっている。 なぜ、PTAの諸問題は解決しないのか。国家視点でPTAの存在を捉え考察している『PTAという国家装置』(岩竹美加子/青弓社)は、今、日本の「戦前への回帰」が危惧されるなかで、PTAという組織の危うさを訴える。 PTA(本書は公立小学校PTAについて論じている)は、社会教育組織としても地域組織としても、日本最大の規模を持つ。それほどの巨大な存在であるにもかかわらず、「見えにくい」組織だ。つまり、PTAは学校や地域に対して従属的に位置づけられていて、外部から「見えにくい」のが一つめ、そして、PTA会員の側からはPTAが国家組織であることと、その巨大な組織の末端であ