『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話』(小学館) 世の中には、刹那の快楽に大金をつぎこみ、何の見返りも残らない人々がいる。一般的にそんな行為は「浪費」と呼ばれ嘲笑されがちだ。しかし、浪費の真っ只中にいる当人が不幸とは限らない。むしろ、心からの幸せを抱いてお金を払っているケースも珍しくないのである。 『浪費図鑑―悪友たちのないしょ話』(小学館)は若きオタク女子たちの「浪費」にまつわるエピソードをつめこんだ一冊である。世間から後ろ指を指され、「無駄」と批判されても浪費をやめられない彼女たちの本音に呆れてしまう読者は多いだろう。しかし、彼女たちがびっくりするくらい「楽しそう」なのは紛れもない事実である。仕事でも家庭でもない、「浪費」という生き甲斐について読者は考えさせられるだろう。 著者「劇団雌猫」はアラサー女子4人組によるサークル。2016年末に発行した同人誌「悪友」が反響を呼び、一般向けに内容を