なにごとも、単純な二分法はあまり良くない。それでも、人間の行動原理の一側面を数直線の上にのせて、程度問題を論じることで理解が捗る場合もある。 例えば、個人の動機付けについて。不安や緊張に駆り立てられているのか、それとも欲求に駆り立てられているのかを数直線の両端に位置付けて考えてみると、なかなか面白い。 わかりやすいところでは「缶詰を買う」という行為。ほとんどの場合、金銭をわざわざ支払ってまで缶詰を買うという行為は、当然、その缶詰の中身を食べたいと欲求した結果と考えられる。けれども、東日本大震災から数日後に全国各地でみられた“買い物騒動”の際には、欲求に駆られてではなく不安に駆られて缶詰を買い占めた人は少なくなかったはずだ。あの頃は、缶詰以外にもたくさんのものが不安に動機づけられた結果として買い占められた。 [関連]:「安心」を買い漁る人々 - シロクマの屑籠 買い物以上に「不安か、欲求か」