限界研[編]『21世紀探偵小説 ポスト新本格と論理の崩壊』を読んで、つらつら思ったことを整理しておこうと思います。以下はこの本の正確な解説ではなく、自分なりにこう解釈したという文章です。かなり大きなスパンの出来事を一個人の視点からアバウトに捉えており、客観的な正確さについては眉にツバしてください。 ■本格ミステリは衰退期なのか? この評論集の全体的なテーマは大きく分けて二つあると思います。ひとつは、社会環境の変化を受けて本格ミステリ作品内における論理のありかたにこれまでにはなかった変化が起きていること。もうひとつは、本格ミステリはいま衰退期にあり、ジャンルの発展を望むなら次に向けた手を模索する必要があるということです。要は、きちんと現状を認識して将来の不安に備えましょうということですね。 まずは後者、本格ミステリは本当に衰退期なのかというところから始めましょう。結論を先に述べれば感覚的には