安倍政権で「地方の人口減少」が議論される中で、「希望出生率」という指標が新たに出てきた。地方自治を研究する東京大学大学院教授の金井利之さんに、「地方創生」と希望出生率の考え方について聞いた。(聞き手・見市紀世子) ――安倍晋三首相が「新3本の矢」の政策に「希望出生率1・8」を掲げました。昨年から今年にかけて「地方創生」の文脈で、地方自治体が次々と数値目標を発表しています。なぜでしょうか。 「まず、国は少子化対策を自分ではやらないという意思表示です。石破茂地方創生相が6月5日に公表した『地方創生における少子化対策の強化について』の中で、〈出生率の向上には、『これさえすれば』というような『決定打』もなければ、これまで誰も気付かなかったような『奇策』もない〉と認めて、「地域アプローチ」を提唱しています。人口減少の問題に国として取り組む能力がないのか、やる気がないのかは分かりませんが、『地方創生』