9月25日、中国は突如として「快舟」と呼ばれるロケットを打ち上げた。中国の宇宙関連機関やメディアは打ち上げ成功の事実を短く報じたのみであったが、朧げながらも見えてきたのは、極めて野心的で、そして革新的な衛星打ち上げ機と衛星の姿であった。そしておそらく、現在米国が進める即応宇宙(Operationally Responsive Space)計画に匹敵するシステムの開発に成功した可能性も高い。 現在判明している事実やいくつかの手がかりから、快舟ロケットと快舟一号の正体を推測する。 前日談 事の起こりは9月22日、宇宙開発のフォーラムであるNASASpaceflightと航空航天港に投稿された、妙なNOTAMが出たという書き込みであった12。NOTAMとはロケットやミサイルの打ち上げや、あるいは花火の打ち上げなど、一時的に空を使用する場合において、その近くを通過する航空機に対して注意を呼びかける