失業などと並んでフランスの大きな課題となっている治安の確保に、また疑問符がついた。13日夜に起きたパリの同時多発テロは、市民の不安を改めてかき立てた。オランド大統領は過激派組織「イスラム国」(IS)の犯行と断定。国内で500万人を数えるイスラム教徒には、息苦しい日々が再来しかねない。 今年1月に起きた週刊新聞「シャルリー・エブド」などでの連続テロの後、フランスでは、イスラム教徒に対する嫌がらせが急増している。イスラム教の礼拝所モスクなどへの発砲、落書き、教徒への侮辱などが後を絶たない。 「イスラム憎悪に関する研究所」によると、9月末までに確認された事例は330を数え、すでに昨年1年間の3倍に達している。アブダラ・ゼクリ所長が「反イスラムの感情をあおる」と警戒するのが、仏右翼・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首だ。 ルペン氏は2017年の大統領選で決選投票に残ると目される。13日夜、ルペ