第105回 自らの首を絞める日銀の「標準シナリオ」 経済アナリスト 森永 卓郎氏 2007年10月29日 日銀金融政策決定会合が10月10日、11日に開かれ、日銀は短期金利の誘導目標を現行の年0.5%に据え置くことに決定した。これで、2月の利上げ以来、8カ月連続で利上げが見送られたわけである。 だが、日銀は利上げに消極的かといえば、そうではない。むしろ、利上げをしたいのにできないというのが実情である。それは、福井総裁の一貫した口ぶりからも分かる。 「今回は様子を見て引き上げをしないが、日本の金利は低すぎる状況にあって、それを正常化するのは絶対に必要だ」 米国が短期金利を引き下げても、福井総裁はこうしたスタンスを崩していない。その根拠としているのが、日銀の標準シナリオだ。「生産、所得、支出の好循環メカニズムが維持されるもとで、息の長い拡大を続ける」――こうした日銀の標準シナリオ通りに