予期せぬ妊娠で苦しむ女性が、病院だけに身元を明かすことを条件に匿名で出産できる「内密出産」。その取り組みを熊本市の慈恵病院が始めて2年が過ぎた今月、病院は初の実施例となる可能性がある女性の出産を公表した。赤ちゃんの遺棄や殺害を防ぐ目的がある内密出産は、法的に認められるのか。【栗栖由喜】 「家族に出産を知られたくない」 西日本在住の10代の女性は昨年11月中旬、慈恵病院にメールで助けを求めてきた。妊娠9カ月と明かした女性は「母親に知られて、親子の関係を断たれたくない。育てられない」という趣旨の理由で匿名での出産を希望。同12月の来院予定日の午前中に出血が始まったとの連絡があり、移動中の出産となる可能性もあったが、病院に無事到着し、保護の翌日、出産した。 病院が自主的に内密出産に取り組むのには理由がある。病院は新生児の殺害・遺棄を防ぐため、親が育てられない子を匿名で預かる「こうのとりのゆりかご
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