「Linux」カーネルのIPv6パケット処理には、境界外書き込みが発生する脆弱性「CVE-2026-53362」が存在する。この脆弱性については、この夏すでにカーネル側で修正が公開されていたが、パッチを適用しなかった人が多い。それは間違いだった。このセキュリティホールが今まさに悪用されているのだ。米国サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)が米国時間8月27日、悪用が確認された脆弱性を集めたKEVカタログ(Known Exploited Vulnerabilitiesカタログ)にこの脆弱性を追加した。その名の通り、このリストには実際に現実の攻撃で悪用されているバグが掲載される。われわれにとっては有用なリストだ。 このバグへの注目が高まったのは、「CVE-2026-53362」に関する公開済みの概念実証(PoC)をOpenAIの人工知能(AI)エージェントの一部が発見したと、
「Linux」にウイルス対策は必要なのか、という問題は長年議論されてきた。筆者は、不要という立場をとることが多いが、それは「Windows」ユーザーとファイルを共有することがほとんどないからだ。とはいえ、ごくまれにWindowsユーザーとファイルを共有しなければならないときは、もちろん、ウイルスが混入していないか確認するようにしている。 筆者自身も、悪意あるファイルを他者に送信してしまうのを防ぐため、「ClamAV」を利用している。 ClamAVは、Linux向けのウイルス対策ソリューションの中で最も人気の高いものの1つだ。オープンソースかつ無料で、コマンドラインやグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)から実行できる。ただし、筆者は標準のGUIである「ClamTK」があまり好きではない。見た目が古臭く、直感的に操作できないからだ。 実は、「ClamUI」という別の選択肢が存在する。
前回はPlamo LinuxでQEMU/KVM仮想環境を動かすために必要なパーツ(パッケージ)とその役割を紹介し、それらをインストールしてvirt-manager経由で仮想マシンを動かすまでを概観、実行例としてPlamo Linuxのネットワークインストール用のisoイメージを使ってみました。今回は、このネットインストール用イメージについて詳しく見てみます。 Plamo Linuxのネットワークインストーラ 伝統的にPlamo Linuxはインストーラとパッケージをひとまとめにしたisoイメージの形式で配布しています。この伝統は、開発の最初期にLinux関係者の飲み会の席で焼きたてのCD-Rを配っていたころまで遡り(笑)、パッケージが増えて複数枚のDVDイメージをインターネットで公開するようになった現在まで続いています。 この方式の場合、インストール用のisoイメージは固定できるので公
性能を比較、速いのはどれ? ファイルシステムの速度は、ストレージ機器やメモリ容量、マウントオプション、ファイルサイズなどによって変化するため、すべての環境で成立する絶対的な順位はない。ここでは設計上の傾向から比較する。 大容量ファイルのコピー:有利になりやすい選択肢 XFS、ext4 - XFSは大規模・並列I/Oを重視した設計だ。単純なコピーでは、追加のチェックサムやコピーオンライト処理が少ないext4も安定した性能を得やすい 小容量ファイルの大量作成:有利になりやすい選択肢 ext4、XFS - 機能が比較的単純で、コピーオンライトやデータチェックサムの追加処理がない。実際の差は同期書き込みやディレクトリ構造に左右される 大量ファイルの削除:有利になりやすい選択肢 ext4、XFS - 単純な構成では予測しやすい。BtrfsとZFSはスナップショットがブロックを参照している場合、削除し
Linus Torvalds氏は先週末、「Linuxカーネル7.2」のリリースを発表した。Torvalds氏は、「リリースに向けた最後の1週間は、いつものように、自分が思っていたよりも大変だった。しかし、『ニューノーマル』を理由にリリースを延期していたら、おそらく永遠にリリースできなかっただろう」と記している。 AIとLinux開発 「ニューノーマル」とは、どういうことなのか。同氏は以前、Linux 7.2の7つ目のリリース候補版に関するメモの中で、それについて説明している。「これら全ての規模が大きくなっていることについて、私は必ずしも喜んではいない。しかし、これが現実である。つまり、多くの修正を含むニューノーマルだ。それらの修正の多くは、さまざまなAIツールによるレビューの結果として施されたものだ」 Linuxカーネル7.1のリリースに先立って、Torvalds氏は以下のように述べていた
カーネルがロックダウンモードにあるにもかかわらず、アクセス可能なレガシーI/Oインタフェースが放置されている ―8月4日、カーネルメンテナーのひとりであるKrzysztof Wilczyńskiが提出したパッチが承認され、約10年前から存在するレガシーI/Oインターフェースが、ロックダウンの保護対象から漏れていることが確認された。この修正パッチは今秋リリース予定の「Linux 7.3」でマージされる見込みだ。 PCI/sysfs: Add lockdown checks to legacy I/O and memory handlers -kernel/git/pci/pci.git -PCI development ロックダウンモードはLinuxカーネルをユーザ空間から保護することを目的に、2019年11月の「Linux 5.4」ではじめてサポートされたセキュリティ機構だ。UNIX/Li
デスクトップ環境の「Xfce」は十分な評価を得ていない。その理由の1つとして、デスクトップの当たり前とされている環境が昔ながらの見た目や操作感になっている点が挙げられる。Xfceは現代風を目指しているものの、「COSMIC」や「Budgie」「KDE Plasma」といった他のデスクトップの陰に隠れた存在となっている。 まだXfceを体験していない多くのユーザーがすぐに気づくのは、このデスクトップ環境が市場で最も高い柔軟性を備えているという点だ。実現できない操作はほぼ存在しない。伝統的なパネルを好むならそれを配置でき、ドックが好きならXfceで再現可能だ。ドックとトップパネルの組み合わせや、2つのサイドパネルといった配置も設定できる。筆者は今まで見たこともないデスクトップ環境にカスタマイズしており、この作業自体が実に楽しい。 一方で、その高い柔軟性ゆえにXfceは少々複雑で取っ付きにくい印
主要なセキュリティメーリングリストの過去ログなどを公開するWebサイト「SecLists.Org」に2026年7月21日(現地時間、以下同)、短期間に大量の「Linuxカーネル」向けCVE IDが公開されたことを受け、脆弱(ぜいじゃく)性対応の優先順位付けの難しさを指摘する電子メールが投稿された。 投稿者はセキュリティ専門家のヤン・シャウマン氏で、ソーシャルメディアの指摘を受けて調査した結果として、2026年7月19日午前9時9分から20日午後4時27分までの約1日半の間にLinuxカーネル向けの432件のCVE IDが公開されたと説明した。7月には、この期間以前にも40件を超えるCVE IDが公開されていたという。 CVEの大量公開で崩れる「優先順位付け」という前提 なお同投稿では、なぜこれほど短期間にCVE IDの公開が集中したのかについては詳しく説明されていない。公開されたCVEは、
インド・ムンバイで開催された「Open Source Summit India 2026」において、「Linux」の安定版カーネルのメンテナーを務めるGreg Kroah-Hartman氏が基調講演に登壇し、Linuxカーネルや分散型バージョン管理システムである「Git」をはじめとする数多くのプロジェクトが「Rust」への移行を進めていると現状を明らかにした。 同氏は、いつもこうした考えを持っていたわけではない。数年前に友人からRustという新しい言語を勧められた際、同氏はC言語の素晴らしさを主張して拒絶したという。しかし、プログラミングの楽しさを再発見できるという友人の言葉は正しかったと同氏は振り返る。実際にRustを体験した結果、コンパイラーが多くの問題を解決してくれるため開発者が煩わしい作業から解放され、コードの品質向上につながるだけでなく、プログラミングそのものが楽しくなると評価を
Linuxカーネルの生みの親であるリーナス・トーバルズ氏が、「Linuxカーネル開発におけるAI利用」について語りました。 Re: Linking Patchwork with Sashiko? - Linus Torvalds https://lore.kernel.org/linux-media/CAHk-=wi4zC+Ze8e+p3tMv8TtG_80KzsZ1syL9anBtmEh5Z40vg@mail.gmail.com/ トーバルズ氏による発言は、Linuxカーネル開発のメーリングリストで交わされていたバグ発見システム「Sashiko」に関する議論の中で飛び出しました。SashikoはGoogle社員のRoman Gushchin氏が開発したシステムで、AIを用いてLinuxカーネルのパッチに含まれるバグを発見することができます。 AIバグ発見システム「Sashiko」がGoo
Debianパッケージのビルド環境として長く利用されてきたツールに「sbuild」が存在します。このsbuildは最近大きな機能追加がいくつか行われ、Ubuntu 26.04 LTSではより手軽で扱いやすいツールとなりました。今回は新しいsbuildについて、インストールからセットアップ、パッケージビルド環境の活用方法について紹介しましょう。 Ubuntu 26.04 LTSまでにsbuildは何が変わったのか コンピューターの世界で「昔は大変だった」という話を始めると、だいたい誰かの武勇伝になります。不思議なもので、昔の苦労というのは時間が経つほど少しだけ格好よく見えてくるようです。 もっとも、本当にありがたいのは武勇伝そのものではなく「今はそんな苦労をしなくてよくなった」という事実でしょう。 今回紹介する「sbuild」も、この10年でそんな変化を遂げたツールのひとつです。本連載でも2
Linuxカーネルで2011年から存在していた脆弱性が明らかになった。特別な権限を必要とせず、一般ユーザー権限から権限昇格やコンテナ脱出につながる可能性があるという。GoogleのkernelCTFでも高く評価された攻撃は、どのような仕組みで成立するのか。 Nebula Securityは2026年7月7日(現地時間)、「Linuxカーネル」の脆弱(ぜいじゃく)性「GhostLock」(CVE-2026-43499)に関する技術解説を公開した。 発見者はVEGAで同社によると、この脆弱性は2011年以降、多くの主要Linuxディストリビューションに影響してきたという。一般ユーザー権限だけで攻撃を開始でき、特別なカーネル設定を必要としない点が特徴だ。Nebula Securityは、この脆弱性を悪用して97%の成功率で権限昇格およびコンテナ脱出を実現する実証コードを開発し、Googleの「k
「スマホのOSアップデートが届き新しい機能にワクワクする」。 これはスマホユーザなら誰もが経験する一コマです。昨今は、端末価格が高騰していることもあり、3年や4年、あるいはそれ以上の長期間にわたり使い続ける人が珍しくなくなりました。 そのスマホは、OSのアップデートが行われても同じカーネルが使われるのが常識でした。Googleは、その常識を破り、Pixel 7からPixel 10にいたるまでの幅広いデバイスを、一挙に最新のLinuxカーネル 6.12へとアップデートする準備を進めていることが明らかになりました。 Your Pixel phone could get a big under-the-hood upgrade this year 地味に感じますが、技術的には歴史を塗り替えるほどの話題なので、アップデートが計画された背景と具体的なメリットを取り上げます。 カーネルを入れ替える
上席執行役員/CTO 小池と高度解析課のアルバイトの戸田です。 この度、我々2名でLinux Kernelに報告していた脆弱性CVE-2026-43456が修正され、開示を行ってよい状況になったため、ブログで詳細について紹介できればと思います。 この脆弱性の一番の特徴は、根本の原因となるコードは2007年にLinux kernelに取り込まれており1、実に19年近くもの間見過ごされ、exploit可能な脆弱性であることに気づかれていませんでした。 また、この脆弱性の特性により、この脆弱性を用いたexploitは、成功率99%以上で1秒以内に安定的に実行が完了します。 この性質に鑑み、我々はこの脆弱性をGoogleのバグバウンティイベントkernelCTF2に提出し、8万ドル以上の報奨金をいただきました。 このブログでは、CVE-2026-43456の根本原因とどのようにして権限昇格を達成し
Stonking(Ubuntu 26.10)の開発; ntpd-rsの導入計画 StonkingのSnapshot 2の提供が開始されています。 SnapshotはUbuntuの比較的新しい風習で、「月末時点でリリースISO相当のものを作成し、自動化されたリリースエンジニアリングプロセスを通すことで、『リリース時点で初めて発覚する問題』を先に叩き出す」というものです。あくまでも「リリースプロセスのテストのためのイメージ」であり、意味のある節目があるわけではなく、専用のQAが行われているわけでもありません(つまり、Snapshotイメージを用いてテストすることと、Daily buildを用いてテストすることにはほとんど差はありません)。 またこのタイミングで、ISOサーバーのファイル構成が更新され、「ルートディレクトリにdaily-live/ディレクトリや各種リリース名のディレクト
「Linuxカーネル」に、一般ユーザー権限から管理者権限を取得される恐れがある権限昇格の脆弱(ぜいじゃく)性(CVE-2026-46331)が存在することが明らかになった。 対象はLinuxカーネルのネットワークトラフィック制御機能「net/sched」に含まれる「act_pedit」でサーバやデスクトップ、クラウド基盤、コンテナ環境、組み込み機器など幅広い「Linux」システムに影響する可能性がある。 Linuxカーネル2.6~7.1系に権限昇格の脆弱性 PoCも公開 今回見つかった脆弱性は、コピーオンライト(Copy-on-Write:CoW)処理の対象範囲を誤って計算する不具合に起因する。本来変更されるべきではない共有ページキャッシュが書き換えられる可能性があり、その結果、権限昇格やコンテナ環境からの脱出につながる恐れがある。2026年6月17日時点で脆弱性情報とPoC(概念実証)の
Ubuntu Weekly Topics Ubuntu 26.10(Stonking)の開発; Betaの位置付けの変更、Arm64向けLivepatchの提供、Ubuntu Coreと“Golioth”によるMCU管理 Stonking(Ubuntu 26.10)の開発; Betaの位置付けの変更 Ubuntuのリリースにおいて、stonking以降ではベータリリースの位置付けが変わることになりそうです。 Ubuntuのベータリリースは、これまでは各フレーバーごとに任意に行われる側面がありました。また、「ベータ段階では完成どころか投入すらされていない新機能」というものも、まれには存在してきました。こうした歴史的経緯を踏まえつつ、resoluteで発生した「Ubuntu Kylinにおいてベータを逃しつつ最終リリースに滑り込んだ」という奇跡の事案を受けて、次の2点を制約にすること
cgroup v2がstableとされた4.5カーネルがリリースされたのは2016年で、もう10年が経ちました。この連載でcgroup v2を初めて取り上げたのは2017年で、そこからでも8年以上経っています。 4.5カーネル以降もcgroup v2にはさまざまな機能が追加されています。たとえば、4.5カーネルの時点では、cgroup v2にはマウントオプションはありませんでしたが、今ではいくつもオプションがあります。そのほか、CPUコントローラの追加などの大きな機能追加以外にも、細かい機能が多数追加されています。 今回は、この連載の各回を書いた時点では存在していなかったため紹介しておらず、その後追加された細かな機能をいくつか紹介します。 favordynmodsオプション まずは、cgroup v2を使う場合に指定できるマウントオプションfavordynmodsです。 favordynm
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