「経済成長なんか目指す必要はない」という意見が日本の左派の人には多い。最近だと、東大名誉教授の上野千鶴子さんが東京新聞に語っている。「日本は人口減少と衰退を引き受けるべきです。平和に衰退していく社会のモデルになればいい。一億人維持とか、国内総生産600兆円とかの妄想は捨てて、現実に向き合う。ただ、上り坂より下り坂は難しい。どう犠牲者を出さずに軟着陸するか。日本の場合、みんな平等に、緩やかに貧しくなっていけばいい」 ちょっと前の例では、元首相の細川護熙さんが2014年、東京都知事選に立候補した時のこのことば。「大量生産、大量消費、経済成長第一でいいのか。欲張りな資本主義ではなく、心豊かな成熟社会に転換するべきだ」 これには「勝ち逃げしているシニアのたわごとでは」という非難が出てくるのも当然だと思う。いま豊かさの底が抜け、相対的貧困率は非常な勢いで上昇している。シングルマザーや中高年ひきこもり