TVを付けたら、30km地点を過ぎたところ、ちょうど福士加代子のペースが落ち始めたところだった。 苦しそうな表情の福士はタイムががくんと落ち、35km目前で抜かれ始めた。 そもそも1万mのランナーである福士は、30kmまでの練習を長く続けていたが、マラソン専業のランナーのように、マラソンの距離以上の長距離を走りきるトレーニングをそれほど積んでない、といわれていた。30km過ぎからペースが落ちるのは当然と言えば当然なのだ。 画面から福士が消え、次々ゴールに選手が入ってくる。 やがて、陸上競技場直前の路上を走る福士の姿をカメラが捉える。 転倒。 立ち上がり、しばらく走る。 また転倒。 なんの衝撃に対する備えもない一般道で、鍛練を重ねたランナーが転倒すると、作り込んだ身体にかなりのダメージがあるのではないか。 やっとのことで競技場のゲートをくぐった福士は、トラックでまた何度も転倒する。 大丈夫か