民放ラジオ局の厳しい経営環境を背景に、AMをやめてFMに移行する流れが本格化してきた。民放AMラジオ全47社でつくる「ワイドFM(FM補完放送)対応端末普及を目指す連絡会」が2021年6月15日に記者会見し、そのうち44社が「2028年秋までにFM局となること」を目指すと発表した。残る3社は、北海道放送(HBC、札幌市)、STVラジオ(同)、秋田放送(ABS、秋田市)。あえて今回の「FM局になる」宣言に乗らなかったのはなぜなのか。 2023年11月頃にAM停波の「実証実験」 AM停波論が本格化することになったきっかけは、日本民間放送連盟(民放連)が19年3月に総務省に対して行った要望だ。要望では、ラジオの営業収入が右肩下がりなのに加えて、AMの大規模送信施設を、放送を続けたまま同じ敷地内で更新することは困難で、「民放ラジオ事業者の財政力で実施できる設備投資には、限界がある」と訴えた。すでに