ブレイディみかこさんと言えば、歯に衣着せぬ小気味いい文体と、生活実感の詰まった深い考察で、階級や差別、格差、貧困、教育、フェミニズムなど多くの社会問題に切り込んできた気鋭の書き手だ。 このたび初めて長編小説を刊行。イギリス南東部の都市・ブライトンと東京とをつなげたZOOMでインタビューは行われた。 「”見えない子”たちを少女小説として書きたかった」 「2年くらい前に、文芸誌『MONKEY』にザ・スミスのモリッシーの歌詞にインスパイアされた初の短編小説を書いたことがあったんです。その後も『MONKEY』で短編の連載は続いていますが、一冊の本になるような長編は今回が初めて。私の中にあったある宿題を、どうしても少女小説として書いてみたいというのがありまして、作家の西加奈子さんとの対談で知り合った編集者に熱烈プレゼンしたんです」 かくて生まれた『両手にトカレフ』の主人公は、現代のブライトンに住む1