大阪市出資の財団が運営する生命科学の世界的な研究機関「大阪バイオサイエンス研究所」(OBI、大阪府吹田市)が、3月末で解散する。市が今年度限りで補助金を打ち切るのを受け、存続が困難になったためだ。市所有の土地・建物は理化学研究所(理研、埼玉県和光市)に無償譲渡されるが、研究員らは引き継がれず、30年近い歴史に幕を閉じる。 OBIは1987年、大阪市制100周年を記念し、「市民生活と福祉の向上、国際都市大阪の機能強化」などを目的に市と民間企業などが設立した。建物は建築家・丹下健三氏の設計。年約12億円の事業費は、国から支払われる科学研究費補助金(約6億円)のほか、市が負担する約6億円で賄ってきた。 歴代所長には、体内で重要な働きを持つ酵素を発見した早石修氏、がんウイルス研究で有名な花房秀三郎氏(故人)らノーベル賞候補とも言われた研究者が就任し、脳や神経の基礎研究で実績を重ねた。2013年5月