(※この記事では本文中に一部、猟師が仕留めた動物の写真などが掲載されています。血が見えているものもあります。ご注意ください) 本を出していちばんの衝撃は“こんなに隠されるのか”ということだった。 生き物を殺して食べている。そんな当たり前の事実が、伝えられないとは。 猟師と山に入り、殺した獣を家で料理する。あるいは、山の獣の肉をもらって食べる。そんな暮らしを約10年してきた。大きな脚を台所で解体しながら、肉の匂いを嗅ぎながら、どんな料理にしようかと考え、家族が集まる食卓に出す。こうした日々を綴った単行本『山と獣と肉と皮』(亜紀書房)を出したのは昨年秋。山と台所を行き来する中で、当たり前に思えていたことが少しずつ違って感じられるようになり、“いま”を取っておきたくなった。消えゆく風景を写真に撮るみたいに、本を書いた。 <人間の住む世界で“悪いこと”とされていることが、山では当たり前の風景として