ぼくはニコラス・ハンフリーの『獲得と喪失』が非常に気に入っている。基本的なアイデアは、人間は何かを失うことで何か新しいものを獲得し、進歩してきたというもの。たとえば、人は文字や記録を発明するのと前後して、本を丸ごと記憶できるような記憶力を失う。それは小さな退歩だけれど、でもそれによりみんなが記憶を共有できることで、人類としては大きな進歩につながる、というわけ。 喪失と獲得―進化心理学から見た心と体 作者: ニコラスハンフリー,Nicholas Humphrey,垂水雄二出版社/メーカー: 紀伊國屋書店発売日: 2004/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 45回この商品を含むブログ (62件) を見る あるいは、人間が美男美女だけにならないのは、醜男やブスが異性を得ようと努力するからだ。その結果、人類は進歩する。人間が超天才ばかりにならないのは、バカが相談しあうほうが社会が構成