指定図書は『羆嵐』ということなので、入手は簡単。ある程度の大きさの書店へ行って新潮文庫の棚へ行けばまあ、あるでしょう。 ただちょっと困るのは、表紙が怖いわけですよ。新潮文庫の『羆嵐』は。この表紙のせいで今まで読んでいなかったと言っても過言ではない。かも知れない。 でも今ならもしかして、「ユリ熊嵐」コラボカバーとかになっているかも知れないと──まあ、そんなことはないですね。人食い熊がしっかりこちらを睨んでいます。これはあの、「もともとはスイス土産だったはずなのに、いつのまにか北海道名産ということになっている木彫りの熊なのだ、木彫りの熊」と自分に言い聞かせてレジへ持って行きます。 「カバーおかけしますか」 「(いつもより強い調子で)はい」 ということで『羆嵐』です。ちなみに「羆」の字はヒグマ。『熊嵐』ではありません。クマによる被害を熊害と呼ぶことがありますが、その場合の読みは熊害(