■中村修二「裁判闘争」と「テーミス」 私が「中村修二問題」について考える時の資料は、主として雑誌「テーミス」である。実は、私も昨年末にこの雑誌から原稿依頼を受け、今年の初頭に経済コラムを書いたのだが、ちょうどその頃、相前後してこの雑誌に掲載されたのが「青色LED特許裁判の『真実』」という特集記事だった。私はこの記事を読み、はじめて問題の深さと広がりを実感として理解した。 われわれは、これまで、この裁判について中村修二サイドからの情報だけで物を考えてきた。しかし裁判には相手がいる。当然、相手には相手の言い分があろう。しかしマスコミも一般大衆も中村修二が作った「物語」を鵜呑みにして、裁判の相手の日亜化学という会社にはなんの興味も示さなかった。「会社に莫大な利益をもたらすような技術開発をただ一人で成功させた中村修二という天才的な科学技術者」を抱えながら、その能力や成果を全く評価せず、むしろ冷遇し