「君はよくロック、ロック、ロックンロールと口癖のように言うが、あれはロックや若気の至りというよりも…」朝の食卓、同居してる義理の父は僕に言った。穏やかな声だ。「小便臭い子供のやることではないかな?婿殿」。師走。泥酔の挙げ句の狼藉、酒バイオレンス。の連続。どうしてがぶがぶ酒を飲むと障子に北斗百裂拳をお見舞いしたくなるのだろうか?「婿ではありません」と突っ込みをいれる空気はなかった。「確かにそうですね」僕は言った。妻と義母は時代劇の録画を観ながら成り行きを見守っている。胃が痛い。それから、義理の父は予め決められた場所に言葉を置くようにして言った。「早々に、出ていってほしい」。「わかりました」。障子に開いた孔から射し込むお日様が眩しかった。 こうしたやりとりを経て僕は妻の家を出ることになった。マスオさん生活は3ヶ月で終わった。誤算がふたつ。ひとつは知り合いの不動産屋の扱っているイイ感じの物件がち