解体したシカを冷蔵保存する施設。柳川瀬さんは「衛生管理は徹底している。付加価値の高い肉を提供したい」と話す=丹波市氷上町谷村、丹波姫もみじ 街のレストランや地域のイベントで、シカ肉の料理をよく見かけるようになった。農作物を食べ尽くす被害の拡大を背景に、全国で野生のシカの食肉利用が広がっている。狩猟者自らの消費が中心だったが、今では肉処理施設が増え始めて供給が伸びつつある。消費の拡大が課題で、各地ではシカ肉の魅力を広げる取り組みが盛り上がりを見せている。野山を駆けめぐる野生動物が、食卓にのぼるまでの舞台裏を追った。(井垣和子) 兵庫・丹波で捕れたシカを一頭買いする店があると聞いて、神戸・御影のフランス料理店「MOMOKA(モモカ)」に向かった。 首やすね肉が入ったミートソースはコクがあり、2センチほどのヘレステーキは筋もなく柔らかい。「臭みがある」とよくいわれるが、まったく気にならなかった。