タグ

ブックマーク / honz.jp (38)

  • 『復刻版ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』小泉八雲のこだわりを堪能せよ! - HONZ

    ラフカディオ・ハーンと聞いてピンと来なくても、『怪談』を書いた小泉八雲という外国人だと言えば分かる人は多いだろう。 1890年(明治23年)に来日し、日文化に魅入られ亡くなるまでの14年間、英語教師をしながら日の物語を欧米に紹介し続け、晩年には帰化して日人となった。 来日する以前、ハーンはアメリカで新聞記者として活躍する傍ら、物語やエッセイなども精力的に執筆していた。書もその中の一冊で、10年間滞在していたニューオリンズで、その土地独特のクレオール料理に興味を持ち、書を完成させたという。ハーン自身の版画による挿画もたくさん収録されている。百年の時をこえ1998年で出版されたの復刻版だ。 ニューオリンズはルイジアナ地方に入植したフランス人とスペイン人、有色人種が混じりあった独特の文化(クレオール文化)を持っている。料理もザリガニや亀などこの場所ならではの材を使い、ほかにはない

    『復刻版ラフカディオ・ハーンのクレオール料理読本』小泉八雲のこだわりを堪能せよ! - HONZ
    donayama
    donayama 2017/06/16
  • 凄みある現場の声 『「子供を殺してください」という親たち』 - HONZ

    書は、精神を病んだ人を説得し医療につなげる「精神障害者移送サービス」に従事する著者がまとめただ。生命の危険を伴う仕事であろうことは想像に難くないが、全体の半分以上をしめる第1章「ドキュメント」では、想像をはるかに上回る壮絶な事例が多数紹介されている。その文章は、第三者によって安全な所から書かれたものとは違い、対象者の回復を願い行動を共にしている著者の目線で書かれたものだ。だから、読者は冒頭からグングン引き込まれていく。後述するが、私にとってこの第1章は、親として得たものが非常に多かった。 第2章以降は、精神保健分野の問題点について、法制度の面もふまえ解説し、提言している。これを読むと我が身の危険を感じ、背筋が寒くなる。危険をかかえた人が、長期入院を減らす国の施策によって退院を促され、市中に増える傾向にあるという。他人事ではない。すぐ身近に危険は迫っているのだ。私が書を初めて読んだ8月

    凄みある現場の声 『「子供を殺してください」という親たち』 - HONZ
    donayama
    donayama 2015/10/03
  • 【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 - HONZ

    8月26日発売の『世界の辺境とハードボイルド室町時代』は、人気ノンフィクション作家・高野 秀行と歴史学者・清水 克行による、異色の対談集である。「世界の辺境」と「昔の日」は、こんなにも似ていた! まさに時空を超えた異種格闘技の様相を呈す内容の一部を、HONZにて特別先行公開いたします。第1回は「高野秀行氏による前書き」と「かぶりすぎている室町社会とソマリ社会」について。(HONZ編集部) はじめに by 高野 秀行 私はふつうの人が行かないアジアやアフリカなどの辺境地帯を好んで訪れ、その体験をに書くという仕事をしている。こんなことで生活できるのはありがたいと思うが、一つ困るのは話し相手がいないことだ。 たとえば、ここ5年ほど通って取材を行っているアフリカのソマリ人。彼らは数百年前から続く伝統的な社会システムを現在でも維持しており、それに従って内戦も和平も恋愛 も海賊行為も行われている。

    【連載】『世界の辺境とハードボイルド室町時代』第1回:かぶりすぎている室町社会とソマリ社会 - HONZ
    donayama
    donayama 2015/08/13
  • マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー

    プロレスには人生の大切な全てが詰まっている!『パパはわるものチャ... 2018年09月23日 プロレスは人生の縮図だ。 人生では勝つことも負けることもあるけれど、勝ってばかりだと面白くないし、反対に負けてばかりでもやるせない。 絶対に勝たなければいけない時もあるし、勝ちを譲った方が良い場面...

    マンガ新聞 - 漫画の記事・無料連載・新刊情報・おすすめ漫画レビュー
    donayama
    donayama 2015/07/10
  • 『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ

    先週末30年ぶりにシリーズ続編として公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は突き抜けて凄まじい、破壊的なエンターテイメントだった。崩壊した地球文明の後に残った脳筋の男共が滅茶苦茶に改造されもはや原形が何だったのかさっぱりわからない車とバイクに跨り、何故か火を吹くギターを持って、裏切り者の女共を追いかけ上映時間の殆どをカーチェイスに費やす。走れども走れども砂漠以外何も見えない、荒廃した大地。資源は限られ少ない物資をヒャッハー!! と、暴力によって奪い合う、力こそ正義! な地獄絵図な世界が広がっている。 しかし、仮に核戦争なり宇宙人の侵略なり異常気象なり隕石の衝突なり、原因をどこに求めるにせよ、文明がいったん崩壊してしまったとしたら、当にそんな破滅的な状況になるのだろうか? 失われてしまった文明はもはや戻らないのか? 逆に復興できるとしたら、どうやって? 書は書名である『この世界

    『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』文明再起動マニュアル - HONZ
    donayama
    donayama 2015/06/25
  • 『コカイン ゼロゼロゼロ』あまりにも凄惨な現実 - HONZ

    コカインという白い薬物をめぐる書は凄惨な事件から始まる。それはキキの物語だ。 キキの物語を語るには、まずこの男のことを知らなければならない。ミゲル・アンヘル・フェリックス・ガジャルド、通称〈エル・バドリーノ〉はメキシコで「コカインの帝王」と崇められた男だ。今も〈エル・バドリーノ〉の時代もコカインの一大生産地はコロンビアだ。しかし、コカインの大量消費国アメリカにコロンビアは遠すぎる。また当時、コロンビア国内ではカリ・カルテルとメデジン・カルテルがコカインの密売ルートの支配をかけて抗争を繰り返し、力を失いかけていた。さらにメデジンの伝説的な首領パブロ・エスコバルは米連邦捜査局(FBI)の買収に手間取り、膨大な量のコカインを摘発され、窮地に立たされていた。 エスコバルは、アメリカとの国境線を支配する〈エル・パドリーノ〉に助けを求める。二人は意気投合し、共にビジネスを始める。警察官から転身し、既

    『コカイン ゼロゼロゼロ』あまりにも凄惨な現実 - HONZ
    donayama
    donayama 2015/04/08
  • 新感覚の歴史教育本『アニメで読む世界史〈2〉』 - HONZ

    歴史を知ることは面白い。自分たちが生きている世界、社会が持っているルーツを知る作業は、人に安心を与える。安心を得る作業であると同時に、驚きや教訓、閃きを得る手段でもある。そのことによって、現代の問題に対処しうることもある。歴史を知ることにはそんな有用性があるけれども、歴史を知れば知るほど、語られるそれらに対して、疑わしい何か眉唾めいたものを感じる。それは、歴史を語るのが人間だからだ。歴史とは、常に誰かの語ったものでしかないからだ。誰かの解釈でしかないからだ。でもだからこそ、それは知的冒険として人を夢中にさせる。決して正解のない、明快に解き明かされることのない永遠の謎。今あるこの世界が、社会が、なぜこのように成り立つに至ったのか、それを系統立てて説明すべく、様々な方法論で、様々な科学技術を駆使して、人は「過去」に挑んできた。 その歴史の面白さを、新しい見方で伝えることは出来ないか、と考えられ

    新感覚の歴史教育本『アニメで読む世界史〈2〉』 - HONZ
    donayama
    donayama 2015/02/27
  • 『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ

    ホッケの干物といえば居酒屋メニューの定番。大皿にもおさまらないくらい大きくて、仲間たちとワイワイつつく魚。家で焼こうとしようものなら、魚焼きグリルからしっぽがはみだしてしまうような。 ところが、そのホッケがいま、年々小さくなっているという。それこそアジの干物ほどの大きさに。しかも値段は高騰、居酒屋メニューのような庶民の味ではなく高級魚になってしまったというのだ。たしかに言われてみると、スーパーの鮮魚売り場で見かけるホッケは、こじんまりと品よく高い。なぜこんなことになったのか。 ホッケの漁獲量が減ってしまったのだ。もはや海に大きなホッケはほとんど見当たらなくなっているという。1998年の20万トンをピークに、2011年にはなんと!75%減のたった5万トンになってしまった。獲りすぎたのだ。 こうして獲りすぎて、いなくなってしまった魚はホッケだけではない。マイワシ、ニシン、マサバ、ウナギ…。クロ

    『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』 - HONZ
    donayama
    donayama 2015/01/24
  • 『辻静雄』を知っていますか? 新刊超速レビュー - HONZ

    二昔以上も前に世話になったおじさんに逢った。このムックを書店で見かけた時、そんな気がした。いまは亡き辻静雄の名前、どれくらいの人が知っているのだろう。『辻調理師学校(現・辻調理師専門学校)』の創始者、といっても、地元大阪ではいざしらず、全国的にはどんなものなんだろう。 グルメという言葉が根付いた頃、後に直木賞を受賞する海老沢泰久が書いた『美味礼賛』を読んだ。辻が亡くなる少し前に出版されただ。面白かった。フランス料理などろくにべたこともなかったのに、物のフランス料理を日に持ち込んだ辻の人生は抜群に面白かった。 読売新聞大阪社の社会部記者であった辻は、『割烹学校』を開いていた岳父に薦められ、フランス料理を学ぶ。といっても、自分で作るわけではない。仏文出身であった辻は、文献を渉猟し、フランスへ渡り、物をべ歩く。そして帰国。辻調理師学校を創設する。 辻の活躍はきわめて多岐にわたるので

    『辻静雄』を知っていますか? 新刊超速レビュー - HONZ
    donayama
    donayama 2014/07/18
    「美味礼賛」でしか知らないけどこのムックは読みたいな。
  • 『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落 - HONZ

    時代がいくら変わっても、新聞には変わらない役割があります。その重要な 一つが権力監視、権力チェックではないでしょうか。権力監視の力は弱くなってきたと言われていますが、読者のためにも権力監視の役割を放棄するわけにはいきません。北海道警察の裏金問題の報道は、まさにそうした、新聞来の役割を取り戻すための作業でした。 2004年10月、書の著者・高田昌幸氏が北海道新聞取材班の代表として、報道界最高峰と言われる新聞協会賞を受賞した時のスピーチである。このときの「北海道警裏金問題追及キャンペーン」は素晴らしい仕事であった。一連の調査報道は、このほか日ジャーナリスト会議大賞、菊池寛賞も受賞し、北海道新聞の勇名を日中に轟かせた。事件の取材においては警察との「友好関係」が欠かせない警察記者クラブの記者たちが、よくぞ踏ん張って戦ったものだなあと、私も当時感心した記憶がある。 かっこいいなあ新聞記者。頼

    『真実 新聞が警察に跪いた日』 - 栄光からの転落 - HONZ
    donayama
    donayama 2014/05/24
  • 『トロイアの真実』 シュリーマンは何を見つけたのか - HONZ

    一冊のは、人の一生を変えてしまうほどの力を持つことがある。8歳のときに父親からプレゼントされた『子どものための世界の歴史』は、ハインリッヒ・シュリーマンの人生をハリウッド映画よりも劇的なものに変えてしまうこととなる。幼いシュリーマンは、そのに描かれていたトロイアが炎上する挿絵の虜になり、いつかその場を訪れることを誓った。ホメロスの『イリアス』にも描かれるトロイア戦争は空想の産物であると父親にいくらいわれても、シュリーマンは聞く耳を持たず、その争いを“史実”として信じていたという。 ビジネスマンとして大成功したシュリーマンは、子どもの頃の夢を忘れることはなかった。40歳を超えたシュリーマンは蓄えた資金を携えトルコへと発掘に向かい、気の遠くなるような作業の末、ついに夢物語と思われたトロイアを発見したのである。ロマンに満ちた彼の生きざまを知ったフロイトは、「シュリーマンこそもっとも羨むべき人

    『トロイアの真実』 シュリーマンは何を見つけたのか - HONZ
    donayama
    donayama 2014/04/22
  • 『偉人は死ぬのも楽じゃない』 - HONZ

    書には、カエサル、コロンブス、マリー・アントワネット、アインシュタインといった、歴史にその名を刻む19人の偉人たちが登場する。しかし書がスポットを当てているのは、その武勇でも、才能でも、豪勢な暮らしでも、壮絶な運命でもない。書かれているのは、偉人たちが具体的にどのように死んだのか、という死に際の物語だ。それが1人物につき1章で、大体10ページくらいでまとまっているので、どこからでも手軽に読み始められる。これは、スキマ時間に読むには最適! と、はりきって言ってはみたものの、困ったことに内容はそんなに軽くない。ギロチンで飛び散った血で道が濡れてすべる、体を切り開いて大量の血や種々の液体をかき出す、遺体の頭蓋骨から脳みそだけを取り出してスライスする……。など、とにかく血なまぐさい話がゴロゴロ出てくるのだ。筆者自身、まえがきで、゛血なまぐさい話が苦手なら、このを読んではいけない゛と、警告を発

    『偉人は死ぬのも楽じゃない』 - HONZ
    donayama
    donayama 2014/04/19
    面白そう。
  • 『すばらしき特殊特許の世界』 - HONZ

    書は一般的な特許出願方法から、常識では考えられないような特殊特許まで、笑えて学べる特許の入門書になっている。こののポイントは「笑えて学べる」にある。特許と聞くと取っ付き難いイメージだが、これなら手に取るハードルを一気に下げてくれる。

    『すばらしき特殊特許の世界』 - HONZ
    donayama
    donayama 2014/01/27
  • グルメアプリ【TERIYAKI】-テリヤキストの自腹ワンコイン広告 - HONZ

    きっかけは今年の4月中旬、成毛眞さんからのFacebookメッセージだった。 「ホリエモンに会ってみませんか? 彼からレストラン版HONZのようなものを作りたいと言われたんだけど」 堀江さんとはこれまで、収監される前に一度会っただけ。が、「レストラン版HONZ」というコンセプトに惹かれて会ってみることにした。彼がまだ社会復帰して二週間ぐらいのことである。 私は文藝春秋で「東京いい店うまい店」というグルメガイドの編集長を務めている。「いい店」は1967年に創刊され、匿名筆者で文章だけで料理店を評価したグルメガイドの草分け的な。その選択眼については評価していただいているが、「べログ」などネットグルメが主流になってきてから、二年に一度の紙のガイドの限界に悩んでいた。 そんな時に会った堀江さんの言葉は、のっけから新鮮だった。 「べログって雑音が多いと思うんですよ。僕は信頼された人が言ううまい

    グルメアプリ【TERIYAKI】-テリヤキストの自腹ワンコイン広告 - HONZ
    donayama
    donayama 2013/12/06
  • マンガHONZが始まります! - HONZ

    2011年7月にスタートした書評サイト「HONZ」は、格的に活動してから2年余りの月日が立ちました。現在HONZに掲載されているレビュー数は1755。2冊目の書籍『ノンフィクションはこれを読め2013』も発売され、おかげさまで月間約70万PVのサイトに成長いたしました。 HONZ最大の特長は、厳選された読み手が何冊ものを読み、その中から1冊を選び出すということです。選び出すにはそれぞれクセがあり、書き手にはそれぞれ個性がある。その集合体としての価値に、幅広いニーズがあるという手応えを感じ、このスキームを他の分野にも活かせるのではないかと考えました。 その第一弾として「マンガHONZ」を立ち上げることにいたします! マンガHONZには現在のHONZメンバーは関わりません。代表は堀江貴文。佐渡島庸平(コルク)とのコンビで心機一転、運営を開始いたします。しばらくはHONZ内でお知らせ等の

    マンガHONZが始まります! - HONZ
    donayama
    donayama 2013/10/30
  • 『職業治験』治験だけで生活をするプロの生態 - HONZ

    このは治験だけで生活をする男の体験記である。初めての治験から、プロ治験者の第一人者「教授」との出会い、「教授」を介した裏ルートでの治験、海外での治験、プロ治験者の末路など、著者が経験した出来事をまとめただ。これがとてもおもしろく最後まで一気に読んでしまった。治験というある種グレーな世界が、こんな風になっているとは……という驚きとともに、きっと治験の世界に興味をもつことになるだろう。 新薬を開発するためには治験が欠かせない。治験というのは薬を世に送り出すために必要な臨床試験のことである。何百回にも及ぶ動物実験で安全性を確認したのち、薬効と副作用を調べるために行われる人体実験のことだ。第一段階の治験では、健康な成人に薬の成分を薄めたものを投与してデータを取る。薬効の確認というよりは、重大な副作用がないかどうかといった安全性を確認すること。また薬が体内に入ってから出るまでの時間、すなわち薬物

    『職業治験』治験だけで生活をするプロの生態 - HONZ
    donayama
    donayama 2013/09/17
  • 7月のこれから売る本-丸の内の某書店 田中大輔 - HONZ

    梅雨も明けて、日差しの眩しい季節がやって来ました。書店業界の夏といえば、文庫のフェアの季節です。新潮文庫の100冊や、ナツイチ、発見!角川文庫など、各出版社がやっている文庫のフェアが書店を彩ります。ノベルティグッズも充実していて、書店もなんだか華やかな雰囲気になりますよね。 昨年からは出版・書店業界の有志の人がはじめた文庫のフェア、ナツヨムというのを開催している書店もあります。近頃はこのような書店員達が独自にはじめたフェアや賞、フリーペーパーが盛んです。そんな中、わたしを含め、このコーナーを執筆しているメンバーの数名が参加しているフリーペーパーがあるので紹介します。 『晴読雨読(はれどく)』は全国の書店員が集まって、当に好きなをおすすめする書店横断フリーペーパーです。 このフリーペーパーは季刊で、現在2号まで発行されています。2号のテーマは「うれしはずかしはじめての○○」ということで、

    7月のこれから売る本-丸の内の某書店 田中大輔 - HONZ
    donayama
    donayama 2013/07/07
    おお、「はれどく」がHONZの記事になってる。
  • 『馳星周の喰人魂』 新刊超速レビュー - HONZ

    馳星周といえば小説『不夜城』である。登場人物のほとんどは歌舞伎町の深部に蠢く中国人マフィアなどだ。その馳星周の喰人魂というのだからギョッとするタイトルであることは間違いない。じっさい中国における人は『水滸伝』の時代には珍しいことではなかった。平凡社の中国古典文学体系『水滸伝』駒田信二訳の第41回から引用してみよう。 黒旋風の李逵がぱっと立ち上がって、 「おいらが兄貴にかわってこやつを引き割いてくれよう。それにしてもこやつ、よく肥えてやがるから、焼いてったらうまかろうな」 すると晁蓋が、 「まったくだ。匕首をとってくれ。それから炭火をもってきて、こやつをこまかく切って焼き、酒の肴にして、弟の恨みをはらしてやろう」 (中略) と、匕首でまず太腿の肉をえぐり取り、うまそうなところをえらんでその場で炭火に焼いて酒の肴とし、えぐり取っては焼き、焼いてはえぐり取りして・・ (以下略、オエッ!生きた

    『馳星周の喰人魂』 新刊超速レビュー - HONZ
    donayama
    donayama 2013/05/29
  • 『たべもの起源事典 日本編』 新刊超速レビュー - HONZ

    世の中にたくさん存在しているであろう、成毛眞をはじめとした多くのトイレ読書家に、ぜひともオススメしたいが文庫として再発売された。 文庫サイズで2310円もするのだが、これは安い買い物だ誰もが思うに違いない。『たべもの起源事典 日編』は10年前、単行が出版されたとき、買おうかどうか、非常に迷ったのをよく覚えている。1300項目にも及ぶ日文化をほぼ網羅した事典は、買っても棚に大事に仕舞い込んで、結局は活用できないのではないか、と思ったからだ。 しかし今回、ちくま文庫の大英断で、少々値段は張るにせよ、どこに置いておいても惜しくない文庫となって再登場したのは大変喜ばしい。(元は東京堂出版)800ページを超える厚さでもトイレやベッドサイドに置いて、ちょこっと一項目読むには苦にならない。なによりペラペラっとして止まったページを読むという、辞書好き・百科事典好きにはたまらない。 適当に開

    『たべもの起源事典 日本編』 新刊超速レビュー - HONZ
    donayama
    donayama 2013/05/26
  • 『子どもの頃の思い出は本物か』 カール・サバー著 越智啓太・雨宮有里・丹藤克也訳 - HONZ

    ふとしたきっかけで子どもの頃の思い出が津波のように押し寄せ、自分が幼少期に大きな犯罪の被害者・目撃者であったことを思い出す。 映画やドラマで一度は目にしたことのあるシーンではないだろうか。あまりに大きなストレスから逃れるために、記憶を意識の奥底へ追いやる、という方法は合理的であるようにも思える。 しかし、当にそれほど強烈な体験や思い出を忘れることはできるのだろうか?また、完全に忘れていた記憶をそれ程詳細に思い出すことはできるのだろうか? 多くの人は記憶をビデオテープのように、記録されたその瞬間に固定化され以後変化することのないものとしてとらえているかもしれないが、近年の研究結果は記憶がビデオテープとは異なるものであることを示している。書には様々な実験手法とその結果が紹介されているが、「記憶」を研究するこの難しさを痛感させられる。人が「忘れていた」と言っていることを、「実は忘れていなか

    『子どもの頃の思い出は本物か』 カール・サバー著 越智啓太・雨宮有里・丹藤克也訳 - HONZ
    donayama
    donayama 2013/05/20