このところ、アメリカの輸出には明るいニュースが多い。ウォールストリート・ジャーナル紙は先月末、原油価格の高騰や日本の大震災といった外国発のリスクに鑑みて、アメリカが謳歌している「輸出主導の回復」の行く末を慮ったほど。 米中貿易全国委員会も、アメリカの対中輸出が急増しており、バラク・オバマ大統領の打ち出した「対中輸出倍増計画」が早期に達成されそうな勢いだと発表した。さらに、昨年のアメリカの輸出額は前年比17%(2650億ドル)増で、2010年のGDPの伸びの半分を占める、という報告も届いている。 「輸出主導の成長」という表現がアメリカ人のボキャブラリーから消えて、すでに半世紀以上。長年、輸出主導型経済への転換戦略を主張してきた私にとって、これほど嬉しい話はないはずだ。 なのに、喜ぶ気持ちになれないのはなぜだろう。こんなに明るいニュースがすべて真実のはずがないと感じる原因は何だろうか。 保護主