総指揮官が前線に乗り込んでどうするのか 東日本大震災は史上空前の大災害になったが、いまだに進行中なのが福島第一原発の事故だ。これは大津波を想定していなかった設計の甘さもさることながら、事故が起こってからの東京電力や政府の対応があまりにもちぐはぐなことが批判を浴びている。 政府の資料によれば、1号機から3号機までの「電源喪失」という緊急事態を東京電力が通報したのは、3月11日の15時42分である。緊急冷却装置(ECCS)が動かず、バックアップ電源も津波をかぶってすべて止まったため、原子炉内の温度と圧力は上昇し始めた。炉内の圧力を逃がすベント(排気)を行なわないと危険だった。 ところが1号機のベントを開始したのは12日の14時30分と、事故発生から23時間後である。その直後の15時36分には1号機で水素爆発が起き、建屋が吹っ飛んだ。これによって排気された水蒸気が外気にさらされ、汚染が広がった。