理化学研究所(理研)仁科加速器科学研究センター 核化学研究開発室の羽場 宏光 室長、金属技研株式会社 技術開発本部 エンジニアリングセンターの栗原 嵩司氏、中村 伸悟氏、同開発センターの安良田 寛氏(いずれも理研 仁科加速器科学研究センター 核化学研究開発室 客員技師)らの共同研究チームは、人工元素アスタチン(At)[1]を大量に製造する技術の開発に成功しました。 本研究成果は、Atが放出するアルファ(α)線[2]を用いたがん治療薬の開発を加速すると期待されます。 放射性同位体[3](ラジオアイソトープ、RI)を含んだ薬剤をがん細胞に集積させ、RIから放出されるα線などの放射線を用いて細胞を死滅させる治療法を核医学治療法[4]と呼びます。近年、α線を放出するAtのRI(211At)を利用した核医学治療が注目されています。211Atは、サイクロトロン[5]などの加速器を用いて発生させた高エネ