〈後編はこちら〉 暗い時代を生きる人々に寄り添うのは「地に足のついた」物語だ 人気作が並んだ2024年春番組で大きな話題となったオリジナル作品が『ガールズバンドクライ』だ。手がけたのは平山理志プロデューサー。2019年に東映アニメーションに入社した平山氏は、『ラブライブ!』シリーズを共に作ってきた監督・演出家の酒井和男氏にシリーズディレクターを、そして花田十輝氏に脚本を依頼。新たなオリジナル作品を作り始めた。 コンセプトは「音楽もの×今の時代を反映した物語」。生きていくのが大変な時代にマッチする主人公と物語を数年かけて探っていったという。 結果、完成した物語はいわゆる「美少女アニメ」の枠から大きくはみ出していた。主人公は高校を中退して上京した少女・井芹仁菜。憧れの存在である桃香とバンドを始めるが、いつも何かに怒り、メンバーとも衝突する。『ラブライブ!』から一転、美少女アニメで泥臭い本気を描