国連の世界気象機関は10日、成層圏のオゾンが増加している傾向が、この35年で初めて確認されたと発表した。 オゾン層保護のためのモントリオール議定書が1989年に発効して以降、世界でフロンなどオゾン層破壊物質の規制が進んでおり、その効果が表れた。 北半球中緯度の上空約40キロ・メートルの成層圏で、2000~13年にオゾンの量が約4%増えたことが観測された。 このペースでいけば、オゾン層は2050年までに、地球のほとんどの地域で破壊が深刻化し始めた1980年以前の状態に戻り、回復が遅れる南極地方でも、2075年頃までに元に戻るという。 オゾン層は太陽光線に含まれる紫外線を吸収し、皮膚がんなどの原因となる紫外線から、地上の人を守る働きがある。1980年代以後、冷蔵庫の冷媒やスプレー缶の高圧ガスとして使われるフロンなどの放出により、オゾン層破壊が急速に進んだ。