「子どもの背中は押したいので、この選択肢しかなかったですね」 50歳の男性は、この春から大学に進学する息子の学費を工面するために、250万円の学資ローンを借りることを決めました。 正社員・夫婦共働き・マイホーム。 一見すると安定したいわゆる“中流”の暮らしに見えても、子どもの教育費は、家計に重くのしかかっています。 新年度が始まり、期待を胸に大学に入学する若者たち。 その裏で、借金しなければ学べない実情が、いま広がっています。 (社会部記者 宮崎良太/おはよう日本 ディレクター 中村幸代)
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「驚くほど動きが悪い」 「基本がなっていない」 「指示待ち」 アメリカのデイビッド・ペトレアス元CIA長官の、ロシア軍に対する評価です。 イラクとアフガニスタンという、21世紀のアメリカの2つの戦争の現地司令官の口から出てきたのは、辛辣な言葉ばかり。 ロシア軍はウクライナで機能不全に陥りつつあるのでしょうか? その先には、何が待っているのでしょうか? ロシア軍の動きをどう見ているか? 《以下、ペトレアス元CIA長官》 プーチン大統領が10年以上にわたり投資してきたというので高いレベルの部隊を想像していたが、驚くほど動きが悪い。装備、兵員、作戦、補給、どれをとってもひどい状況だ。末端レベルで自発的な動きがない。 このため将軍クラスの指揮官が、部隊の先端で何が起きているのか自ら確認に行かざるを得なくなり、そこをウクライナ軍に狙い撃たれて死んでいる。 なぜ前進できないのか?それは、歩兵部隊と戦車
ロシアがウクライナに侵攻して1か月。 長年、ロシアを取材してきたNHKの石川一洋解説委員に、プーチン大統領の思惑を分析してもらいました。 この間の発言や演説からは、 1.ロシア国民の不安 2.誤算 というキーワードが浮かび上がってきました。 プーチン大統領 誤算とは? 私が特に注目したのは3月8日の「国際女性デー」を前にした会合です。 日本ではあまりなじみがありませんが、ロシアでは旧ソビエト時代からとても大切な日です。 バラの売り上げもこの日に集中しています。 プーチン大統領も毎年この日にあわせて、女性たちとお茶を飲むなどイベントを開いています。 今回は、ウクライナに侵攻して以降、プーチン大統領が国民と交流する様子が公開された珍しいイベントとして、特に注目されました。
コンピューターと遠隔で結ばれているカメラを使って、比較的簡単に運動する人の関節や筋肉の動きを立体的に可視化できる新しいシステムを開発したと東京大学のグループが発表し、スポーツやリハビリの分野で広く活用できるとしています。 スポーツ選手の競技力の向上などのため、「モーションキャプチャー」と呼ばれる技術を使って運動する映像から関節や筋肉の動きを解析するには、センサーや専用の機器、それに専門家によるデータ解析などが必要で、簡単に行うことはできませんでした。 東京大学の中村仁彦上席研究員などの研究グループは、AI=人工知能を搭載したコンピューターと遠隔で結ばれている4台のカメラで運動する人を撮影することで、関節や筋肉の動きを立体的に可視化できるシステムを開発しました。 このシステムでは、映像からAIが関節の位置を判断して骨格のモデルに当てはめ、立体的に骨格や関節の動きが分かるほか、それぞれの筋肉が
新型コロナウイルスのオミクロン株は比較的重症化しにくいとされ、中には季節性のインフルエンザと変わらないのではないかという意見を述べる人もいます。 しかし、そのオミクロン株に感染して重症化し、人工呼吸器が必要になった専門家がいます。 新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博 教授(61)です。 初期にはのどがむずむずするくらいで、高熱も出なかったのに、気づいたらせきがひどくなり、肺炎になっていました。 およそ3週間の入院治療を経て回復した舘田さんに話を聞きました。いつも感染対策を呼びかけてきた専門家自身が感染して感じたことは。 ※以下「」は舘田さんのコメント 第6波のピーク時に感染 舘田さんが新型コロナウイルスに感染したのは、第6波がほぼピークの状態だった2月4日ごろ。 そのころ東京都では一日の新規感染者数が2万人を超え、全国では10万人を超えていました。
自分のスマートフォンの画面をゲームの実況などでライブ配信をする人が増える中、その画面に映り込んだショートメッセージの情報を悪用し、フリマアプリなどのアカウントを勝手に作成する不正行為が相次いでいることがわかりました。 スマホ画面のライブ配信はゲームの実況などで人気を集めていますが、設定によっては、配信中に着信したショートメッセージなどがそのまま画面に表示されてしまいます。 捜査関係者によりますと、これを悪用して特殊な操作を行えば、配信している人の携帯電話番号がわかってしまうということです。 さらに、この携帯電話番号を使って「SMS認証」と呼ばれる本人確認に必要な認証コードをライブ画面に表示させ、フリマアプリなどのアカウントを勝手に作成する不正行為が相次いでいるということです。 京都府警察本部は、この方法を使って不正にアカウントを作成した疑いで、神奈川県に住む高校1年の16歳の少年を書類送検
メニューは山盛りの“野菜炒め”1本勝負。去年12月、こんな異色の飲食店が、都内にオープンしました。肉と背脂のトッピングで濃厚な味わいに。野菜の“マシマシ”だって可能です。 ランチタイムには行列もできる人気ですが、実はこの店を開いたのは、飲食チェーンではないのです。 新たな挑戦の舞台裏を取材すると、コロナ禍に振り回される外食業界の状況、そして日本経済復活のヒントが見えてきました。 (経済部記者・大江麻衣子) 私が取材に訪れたのは、東京・渋谷の繁華街の一角にオープンした“野菜炒め”の専門店です。 「ザク、ザク……」 仕込みのキッチンからは、大量のキャベツを切る音が響きます。 キャベツに、もやしとにんじん、たまねぎを加えて、熱々の鉄鍋で火を入れると、あっという間に、皿からこぼれ落ちそうな山盛りの野菜の炒めが完成しました。 店のメニューは、なんと“野菜炒め”1本勝負。 野菜の量は普通盛りでも400
急拡大してきた新型コロナウイルスの新規感染者数は全国的に減少し始めてきています。 ただ、減少のスピードは鈍く、重症者数や死亡者数は増える傾向が続いています。 オミクロン株の症状、後遺症は。 そして専門家からも聞こえ始めた「感染がピークアウトした」との指摘は。 わかってきたことをまとめました。 (2022年2月16日現在) デルタ株の半分の期間で2倍以上の感染者数 オミクロン株による感染拡大の第6波で、新規感染者数の増加は1か月余りにわたって続いてきました。 感染者数は、デルタ株が広がった2021年夏の感染の第5波でも、7月から9月までの3か月間で90万人ほどでした。 第6波では、ことしに入ってからの1か月半で230万人を超えました。 デルタ株の時期の半分の期間で2倍以上の感染者数と、格段に大きな感染拡大になっています。 それが、2022年2月中旬になって、報告される感染者数が減少する傾向が
「検査を受けていたら、彩英(さえ)は今いなかったかもしれない」 私は、両親から衝撃的なことばを聞いた。ダウン症の妹のことだった。いま、新型出生前検査=NIPTを受けた人のうち胎児にダウン症などの障害がある可能性が高いとわかった人の9割は出産を諦めている。命を選ぶとはどういうことなのだろう。私は、決断を迫られた女性たちに話を聞くことにした。 (おはよう日本ディレクター 植村優香) 3姉妹の長女の私は、9歳年が離れた末っ子の妹・彩英(18)をかわいがってきた。 東京で働く私が福岡に帰省するのを、彩英はいつも楽しみにしてくれている。 最近、彩英はスマホを覚えた。 新幹線で帰る私の現在地を「今は何県?」と逐一確認してくるメッセージがおもしろくて、私はつい車内で笑ってしまった。 家族と迎えた正月、一緒に近所の神社に初詣に行って、おせちを食べて…。 私たち家族にとって、ダウン症の彩英がいるのは、当たり
イギリスのジョンソン首相は、新型コロナウイルスの感染者が減少傾向に転じたことを受けて、屋内の公共施設でのマスク着用の義務など、規制の多くを撤廃する方針を明らかにし、新型コロナとの共生を目指す考えを改めて強調しました。 イギリスでは、変異ウイルスのオミクロン株の感染拡大にともない、今月はじめには20万人を超えていた、1日の感染者が、その後、減少に転じ、ここ数日は10万人前後で推移しています。 ジョンソン首相は、19日、議会下院で「一部の地域では感染拡大が続いているものの、全体としてはピークを越えた」などと説明しました。 その上で、先月以降ロンドンのあるイングランドで義務づけられていた屋内の公共施設でのマスクの着用や、大型イベントなどでのワクチンの接種証明の提示といった規制を今月27日から撤廃する方針を明らかにしました。 さらに、ことし3月に期限を迎える、感染後の隔離措置を定めた法律を延長しな
東京都内の13日の感染確認は3124人で、2日続けて前日より1000人前後増え、急激な感染拡大となっています。入院患者は去年9月以来、1000人を超え、都が、20%になった段階でまん延防止等重点措置の適用の要請を検討するとしている病床使用率は、13日時点で15.1%になりました。 東京都は13日、都内で新たに「10歳未満」から「100歳以上」の男女合わせて3124人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。 都内では、11日から12日にかけて1236人、12日から13日にかけて926人増えていて、2日続けて前日より1000人前後、増える急激な感染拡大となっています。 また、13日の3124人は1週間前の木曜日の5倍近くにのぼります。 都内で1日の感染確認が3000人を超えるのは、去年9月2日以来です。 また、13日までの7日間の平均は1503.4人で、前の週の689.
子どもたちに食事や居場所を提供する「子ども食堂」は、全国でおよそ6000か所と、去年の調査と比べて20%余り増えたことがNPOの調査で分かりました。 NPOでは、子どもだけでなく幅広い世代の交流の場として広がっているとしています。 これは、NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」が全国の自治体や社会福祉協議会、支援団体などを通じて調べました。 それによりますと、子どもたちに食事や居場所を提供する「子ども食堂」は今月15日の時点で、全国で6007か所で、去年12月の調査より1047か所、率にして21%増えたということです。 都道府県別にみると、東京都が747か所と最も多く、次いで大阪府が470か所、兵庫県が373か所などとなっていて、40の都道府県で数が増えています。 NPOによりますと、子ども食堂が発足した当初は、親が働いているために1人で食事をする子どもや食事が十分に取れない子
「このままだと、正社員として残ることはできません」 50代の男性は、突然会社からこの言葉を告げられました。安定した正社員から、会社に雇われず仕事を請け負う「業務委託契約」への切り替えを迫られたのです。基本給が手に入らなくなり、収入は大きく落ち込むといいます。 「本当に生活していけないレベルですね」 これまで社会の“中流”を支えてきた正社員。 安泰だと思われていたその地位が、いま揺らいでいます。 (社会部記者 宮崎良太 吉田敬市/おはよう日本ディレクター 中村幸代) 食品販売会社の正社員として、訪問営業を行っている50代男性です。 もともと20年以上、広告代理店の営業マンとして正社員で働いてきましたが、6年前に会社の業務縮小でリストラ。当時、既に50歳を過ぎていて、正社員への転職は厳しく、受かってもいわゆる「ブラック企業」ばかりでした。 10社ほどを転々とし、去年ようやく今の会社に就職が決ま
湾岸戦争直前の1990年にイラクで人質にされた日本人の解放をめぐる、当時の中曽根元総理大臣とフセイン大統領の会談内容が、公開された外交文書で明らかになりました。 中曽根氏が日本は中立的な立場だと強調し、和平交渉に協力する姿勢を示しながら、解放を働きかけた様子がうかがえます。 今回、公開されたのは、1989年から1991年に作成された外交文書で、1990年8月のイラクによるクウェート侵攻で湾岸危機が起きた前後の極秘扱いとされていた公電なども含まれています。 クウェート侵攻で起きた湾岸危機の際、イラクは、軍事行動の構えを見せるアメリカなど各国に対し、外国人を人質にとって対抗し、攻撃目標になり得る石油施設などに拘束したことから“人間の盾”とも呼ばれ、日本人も213人が人質になりました。 公開された外交文書では、クウェート侵攻から3か月後の11月に人質の解放交渉のためにイラクを訪問した中曽根元総理
新型コロナの新たな変異ウイルス「オミクロン株」への感染が海外から入国した人を中心に相次ぐ中、同じ航空機に乗っていたとして濃厚接触者になるケースが増えていて、都内では1000人を超えました。 厚生労働省は、海外から入国した人でオミクロン株に感染していたことが分かった人と同じ航空機に乗っていた乗客を濃厚接触者と見なしています。 都によりますと、19日の時点でこのうち1002人が都内に住んでいる人や滞在している人だということです。 1002人のうち408人は都の宿泊療養施設に入ったか、今後入る予定で、そのほかの人は自宅で待機して保健所などと連絡がとれているということです。 「オミクロン株」への感染が海外から入国した人を中心に相次ぐ中、濃厚接触者になるケースが増えていて、都内で最初に確認されたのは先月30日のおよそ40人でしたが、3日前の17日時点で742人、18日時点で909人、そして、19日時
今、SNSをきっかけに、児童ポルノの被害や児童買春、淫行など、性犯罪に巻き込まれる子どもが増加しています。 警察庁によると、去年被害に遭った子どもは、発覚しているだけでも2000人近く。 近年その数は増加傾向にあります。 子どもたちに今何が起きているのか。 被害を食い止めるためには何が必要なのか。 NHKは被害者支援団体と共同で架空の「14歳の女子中学生」のツイッターアカウントを作成。 すると、子どもたちをことば巧みに性犯罪に陥れようとする大人たちの悪質で身勝手な姿が見えてきました。 (首都圏局ディレクター 二階堂はるか) ※この記事では性暴力被害の実態を広く伝えるため、被害の詳細や加害者の手口について触れています。フラッシュバック等症状のある方はご留意ください。 スマホやネットなどを悪用した“デジタル性暴力”の被害に遭った人から相談が寄せられる都内のNPO法人「ぱっぷす」。 被害者に代わ
「緊急のアフガニスタンの問題は、政治や軍事問題ではない。パンと水の問題である」 こう語ったのは、アフガニスタンの人たちに寄り添い、復興に生涯をかけた医師の中村哲さん。 中村さんが亡くなって12月4日で2年がたちました。 65万人の命と生活を守った中村さんの残したことばは、現地の課題とどう向きあうべきか、いま、改めて私たちに問いかけています。 (国際部記者 北井元気)
いつもの薬局で飲み慣れた薬を受け取ろうとしたら 「実は、薬が不足していまして…」 突然別の薬に切り替えることになり、不安を抱える人や薬代の負担が上がった人も。 そんなケースが各地で相次いでいます。 発端は1年前に発覚した医薬品メーカーの不祥事でした。 今、何が起きているのでしょうか。 (福井放送局 鈴木翔太) 薬をめぐって異変が起きていると聞き、私(記者)は11月下旬、福井市にある調剤薬局で取材しました。 薬局は総合病院を出てすぐの場所にあり、この日も病院から出された処方せんを持った患者さんが次々に訪れていました。 薬剤師さんに案内されてカウンターの向こう側へ入ると、部屋の中ほどに薬が置かれている棚があります。
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