日直のチノボーシカです。きょうは「純文学」と「エンタテインメント小説」のお話。 このふたつは、かっきり分かれているわけではない。 「大衆小説」は1970年代から、「エンタテインメント小説」と呼ばれるようになった。 しかし、どうもこの「エンタテインメント小説」とか「純文学」という名称が、どうにも実態に合っていない気がするのである。少なくとも自分の実感としては。 エンタテインメントとは娯楽のことである。しかしそもそも小説を読むというのは基本、娯楽である。貧乏と病気に彩られた辛気臭い私小説や、難解な実験小説だって、読む人は「おもしろい」から読むのだ。前回書いたとおり、「おもしろい」のツボは人によって違うし、そしてひとりの人にも「おもしろい」のツボはひとつではないのだから。 となると、「大衆小説」だけが「エンタテインメント」な小説ではないわけである。 では、「エンタテインメント小説」とはひたすら娯