これまで日本には分布しないと考えられていたサナダムシの一種「アジア条虫」に感染した患者が昨年6月以降、関東地方の1都5県で計15人確認された。この寄生虫は主に豚を中間宿主とし、幼虫が寄生した肝臓(レバー)を生食したり、加熱不十分な状態で食べたりすると感染する。患者はいずれも海外の流行地への渡航歴が無く、国内にアジア条虫が定着している可能性も出てきた。 折しも、生の牛肉を使ったユッケを食べ、腸管出血性大腸菌O111に感染した集団食中毒事件が不安を広げている。専門家は「生肉にはさまざまな感染の危険が潜む。必ず加熱して食べるべきだ」と警鐘を鳴らす。 ▽渡航歴なし 昨年6月上旬、千葉県に住む男性(58)が、地元の医院からの紹介で都立墨東病院 の感染症科を受診した。男性は中村ふくみ医長に「大便に白いきしめんのようなものが混ざり、最初は食べ物のかすだと思っていた。ある日、割り箸でつついたら動いた