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アマチュアでも音楽や動画を気軽に制作できる環境が整い、ニコニコ動画やYouTubeといった発表の場も整備されてきた。「才能の無駄遣い」「どう見てもプロの犯行」――ニコニコ動画では、こんな“賞賛”を浴びる質の高い作品が、無名や匿名のクリエイターによって作られ、無償で公開されている。 彼らはなぜ、作品を無償で公開するのだろうか。“無駄遣い”されている才能をビジネスに生かす手段はあるのか、2次創作をめぐる著作権問題と、それをクリアする方法は――7月22日に開かれたOGCシンポジウムで議論された。 参加したのは、クリプトン・フューチャー・メディアで「初音ミク」を開発した佐々木渉さん、ネット関連番組を含む1000本以上の番組をプロデュースしてきたというフジテレビジョンの福原伸治さん、ゲームプロデューサーの犬飼博士さん、ギズモード・ジャパンのゲスト編集長で、ブログ「小鳥ピヨピヨ」を運営するシックス・ア
「予告.in」を例に挙げるまでもなく、マッシュアップなどの発達により、誰もが自分が考えたアイデアを素早く実装/公開できる現在。しかし、さかのぼること10年以上前から、斬新な“ネタ”を率先して実装し、世界を驚かせてきたトリックスターがいる。そんな彼が最も追い求めたのは、足す美学ではなく、「引く美学」……。今回のNew Generation ChronicleはCodeReposやPerl-users.jpなど、ネタを革新に昇華させ、日本のWeb業界に確かな足跡を残してきたYappoこと大沢和宏の物語。 ネタと革新のはざまで 1997年、後にimode元年と呼ばれることになる年の前年。都内某所のミスタードーナツでドーナツ作りに励んでいた男こそ、今回の主人公である大沢和宏氏である。その年、「まぐまぐ」と同じ日にYappoという検索サイトをスタートさせた彼は、そのノリでimode元年に突入。マクド
ネット開発者で構成するベンチャー企業・ロケットスタートの矢野さとるさん(26)は6月12日、ネット上の犯行予告を集約するサイト「予告.in」を公開した。フォームから犯行予告情報を投稿してリアルタイムで共有できるほか、2ちゃんねる(2ch)やブログ、はてなブックマークから犯罪予告関連の書き込みを自動収集。犯罪防止に役立ててもらう狙いだ。 トップページには、犯行予告情報投稿フォームと、2ch、ブログ、はてなブックマークの関連情報一覧を掲載した。 フォームに投稿した情報は、Twitterの専用アカウント「yokoku_in」に自動で投稿されるほか、Yahoo!グループの専用メーリングリストに流れる。 2ch検索から「犯行予告」「殺人予告」「殺します」「殺す」「爆破」「通報」というキーワードを含むスレッドを、定期的に自動取得してトップページに掲載。はてなブックマークからは「犯罪予告」「犯行予告」「
青少年をネットの有害情報から守ることを目的とした、いわゆる「青少年ネット規制法」(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)が、6月11日午前の参院本会議で、賛成多数で可決・成立した(「青少年ネット規制法」衆院通過 実効性に疑問、厳格化懸念も)。 法律では、有害情報として「犯罪や自殺を誘引する情報」「著しく性欲を興奮させる情報」「著しく残虐な内容の情報」などと例示。青少年が有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくすることを目的とし、フィルタリングソフト・サービスの普及などを促している。 携帯電話会社に対しては、保護者が不要と申し出ない限り、未成年が利用する端末へのフィルタリングサービス提供を義務付けた。ISPには顧客の求めに応じてフィルタリングソフトやサービスを提供する義務を、PCメーカーには、フィルタリングソフト・サービスの利用を容易にする措置を講じた上で
「コピーされ、2次創作されてこそ売れる時代」――伊藤穣一氏に聞く著作権のこれから:おもしろさは誰のものか(1/2 ページ) 「誰にもコピーされなければ、作品は広がらない」――クリエイティブ・コモンズのCEOに就任した伊藤穣一さんは、ネット上にコンテンツを開放することの意義を語る(関連記事:新CEO 伊藤穣一氏に聞く、クリエイティブ・コモンズとは)。 P2Pファイル交換ソフトを通じてアニメや楽曲ファイルが出回り、YouTubeや「ニコニコ動画」などにもテレビ番組が無断でアップされる。アニメなどを素材に、ユーザーが別の素材を組み合わせて“マッシュアップ”作品を作る。ネット以前にはなかったこういった動きに、権利者が手を焼いている。 その一方で、楽曲のMP3を無料で配布するアーティストや、YouTubeをプロモーションに活用しようという動き、「マッシュアップ用」に公式コンテンツを開放する例も出てき
「ネットの時代が来るとクリエイターもコンテンツホルダーもハッピーになれると言われた。だがそんな経験は1度もない」――ホリプロの堀義貴社長は、3月25日に開かれた、日本音楽著作権協会(JASRAC)が主催したシンポジウム「動画共有サイトに代表される新たな流通と著作権」でこう話した。 左から中央大学の安念潤司教授、ドワンゴの川上量生会長、慶応義塾大学の岸博幸教授、立教大学の砂川浩慶准教授、ホリプロの堀義貴社長、JASRACの菅原瑞夫常務理事 「コンテンツ立国」が叫ばれ、テレビのコンテンツのネット流通を推進すべきという圧力が、ネット業界や経済界からテレビコンテンツホルダーにかかっている。 だがコンテンツホルダーとしては「テレビ番組をネットに出してもメリットがない」というのが本音。堀社長は「ネット事業者は、作ったインフラにのせるものがないから、テレビ番組が欲しいだけだろう」と批判。「コンテンツが欲
人間の行動を規制するために、さまざまな法が存在する。法は、不特定多数の人の行動に社会が立ち入る大変な権力である。だが社会的権力を持った人というのはその力を試したいのか、あるいは規制するのは簡単だと思っているフシがあるのか、次々にへんてこな規制を持ち出してくる例が後を絶たない。 すでにネット上の有識者の間で問題の指摘が始まっているところだが、3月11日から始まった「なくそう!子どもポルノ」キャンペーン(アニメ・漫画・ゲームも「準児童ポルノ」として違法化訴えるキャンペーン MSとヤフーが賛同)も、そんな匂いのする動きである。この運動を通して「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」、いわゆる「児童ポルノ法」が改正されようとしている。 改正のポイントは2つ。 1 現行法が禁じていない単純所持も違法化・処罰の対象にすること 2 被写体が実在するか否かを問わず、児童の性的
角川グループホールディングスの角川歴彦会長らが参加する「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」(代表:八田達夫政策研究大学院大学学長)は3月17日、ネット上での利用に限り、過去の映画や音楽などを事前の許諾なしで映画会社などが配信できるようにする「ネット権」の創設を柱とした特別法の制定を提案した。 過去のコンテンツをネット配信する場合、改めて権利者全員から許諾を得る必要があり、手間と時間がかかることからネット上での利用が進んでいないのが現状。提案では、配信を行う事業者に著作権者への対価支払いを義務付けるのを条件に、ネット限定で著作権者の許諾権を制限する。このため事後的な対価支払いで過去のコンテンツ資産をネット配信できるようになり、デジタルコンテンツの流通と活用を加速できるとしている。 「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」のメンバーは、相澤英孝一橋大学大学院教授、映画プロデューサーの一
アグネス・チャンさんらが呼び掛け人として、いわゆる児童ポルノに反対する「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンのネット署名受け付けが3月11日始まった。児童ポルノの単純所持の違法化や、アニメや漫画、ゲームなどで児童を性的に描いたものも「準児童ポルノ」として違法化するよう政府・国会に求めていく。キャンペーンにはマイクロソフトとヤフーが企業として賛同した。 同日、東京・永田町の衆院第2議員会館で開いた記者会見で、アグネス・チャンさんは「子どもへの性的虐待は犯罪。ポルノを持ってもだめ、漫画を買って読んでもいけないと訴えていくべき」と話した。森山真弓元法相は「自民党の小委員会では単純所持は禁止の方向で一致しており、今後具体的に進めていく」とした。 左から神本議員、丸谷議員、森山元法相、アグネス・チャンさん、日本ユニセフ協会の早水専務理事、ECPAT/ストップ子ども買春の会の宮本共同代表、後藤弁護士
「最低2~3年はいる」。そう言って日本を出、米国シリコンバレーに飛び込んだはてなの近藤淳也社長が、1年半で日本に帰ってきた。この4月、はてなは本社を東京から、創業の地・京都に移す。 米国でやり残したことは、たくさんある。それでも日本に戻ると決めた。日本の京都から、世界に通用するネットサービスを作りたい。任天堂が京都から世界に、「Wii」を送り出したように。 米国では「これから」だったが…… 2006年7月、米国シリコンバレーに設立した子会社Hatena.Inc。オフィスを構え、近藤社長は妻の令子さん、開発スタッフと3人で、現地に移り住んだ。 第一線のWebエンジニアが賞賛しあい高めあう、シリコンバレーが好きだった。渡米した直後に参加した、Webアプリのイベント「Future of Web Application」。「digg」や「WordPress」開発者がヒーロー扱いされるのを目の当たり
現行の著作権法はネット時代に合っていない。では、どう変えればいいのか――早稲田大学デジタル・ソサエティ研究所が1月25日に都内で開いたシンポジウムで、法学者や漫画家などが、新しい著作権制度の形について議論した。 参加したパネリストは「現行の著作権法は時代に合っていない」という認識で一致。クリエイターの創造のインセンティブを高めながらも著作物の自由利用を確保する新制度として、「商用著作物は登録制にして自由な2次利用を認め、税金で使用料を徴収して人気投票で著作者に還元する」などといった案が出た。 著作権法は時代遅れ 「著作権法はどう持っても20~30年だ」――法政大学准教授の白田秀彰さんは言う。 著作権法は19世紀に、印刷物を想定してできた法律。その意図は、著作物の自由な利用を一定程度制限することで、著作者に経済的な利益をもたらし、著作へのインセンティブを高めてより豊かな創造につなげよう――と
角川グループホールディングスは1月25日、YouTube上で新事業を展開すると発表した。まず2月上旬に、YouTubeに公式チャンネルを設置。春ごろからは、ユーザーがYouTube上に投稿した動画に自社権利作品が含まれていた場合、権利者の許諾が得られれば「認定マーク」入りで公開し、広告収入を権利者に分配する仕組みを導入する。 子会社の角川デジックスを中心に事業展開する。公式チャンネルは「アニメ」「エンターテインメント」「ムービー」の3種類を想定。アニメチャンネルでは「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」など、YouTubeで人気となったアニメ作品の公開を検討する。 ユーザー投稿角川動画の「公認」も 投稿動画の収益化にも取り組む。YouTubeが開発中の動画識別ツールを活用し、角川グループが権利を持つ作品の無断投稿を確認した際は、そのまま公開するか、削除するかを、各権利者と相談して決める。無断投
映像作品の制作や配信などを手がけるオーエンはこのほど、動画投稿サイト「事典TV」β版を開設した。「映像の百科事典」を目指して構築したといい、まずは植物や食べ物、日本の祭りなどの動画約2000点をそろえた。 当初公開した動画は、同社が運営する映像クリエイターのネットワーク「個夢劇場」に所属する約350人が制作したが、クリエイター登録すれば誰でも動画を投稿でき、審査に通った作品だけが公開される。クリエイターは、映像を使いたい企業や自治体などから使用料を得ることが可能だ。 動画には誰でも無料でアクセスでき、キーワードから動画を検索して視聴できる。シーンごとにタグが付いており、キーワードを指定して目的に合ったシーンだけを視聴することも可能。動画をブログなどに貼り付ける機能も備えた。 今後は、動画に連動したCMを配信したり、企業にクリエイターを紹介する際の仲介料などから収益を得る計画。売り上げは初年
マスメディアとインターネットの世界が対立していた時代は、そろそろ終わりに近づこうとしている。いまや局面は、マスメディアにしろインターネットにしろ、どのようにしてマネタイズ(収益化)を確立できるかというフェーズに移りつつあるからだ。そのフェーズにおいては、マスメディアとインターネットは対立関係からどう脱し、新たな関係性をどう確立できるかどうかが問われることになる。 なぜWSJは100万人規模の有料会員制を放棄するのか 例えば、こんな話がある。米国の有力経済紙The Wall Street Journal(WSJ)を買収したNews Corp.のルパート・マードック氏は2007年11月、オーストラリアで開いた株主向け説明会で、同紙を無料化する方針を明らかにしている。WSJといえば世界でも数少ない「コンテンツ有料化に成功した新聞」として知られており、年間50ドルの有料会員の数は100万人に達して
高野氏は、あるアニメ制作中に監督が漏らした言葉を引用する。「最近の視聴者は、30分のアニメ全体でなくシーン単位で見る」。あのシーンの、どのカットが良かった……などと批評されるという。ユーザーはストーリー性より、キャラの立ち居振る舞い、特徴にばかりこだわるようになった。 これに、ゲームメーカーの制作事情が加わる。「萌えゲーは、5万本売れれば大ヒット。大抵は、1万本程度で成立する作りになっている。メーカーはコストを抑えるため、システムなどに費用をかけるのでなく、キャラの特徴のみでほかの作品と差別化を目指す」(同)。 これらの相乗効果により、キャラの特徴は極端なまでに先鋭化する。特殊なキャラはいずれ、マニアにしか意味が分からない「記号」になってしまうだろうという。 「これでは新規ユーザーが入ってこない。既存ユーザーは94%が男性、6%が女性だが、男性はやがて家庭を持ったり、『足を洗ったり』してゲ
ネット業界でいまや、知らないほうが少数派となった単語:「萌え」。その萌えをキーワードにしたゲーム、いわゆる「萌えゲーム」(萌えゲー)が、曲がり角を迎えているのだという。 9月7日の「CEDEC 2004」会場では、メディアワークス「電撃G'sマガジン」編集長の高野希義氏が登場。独自の視点から萌えゲーを取り巻く環境を解説すると共に、業界が直面する課題を指摘した。 「萌え」とは何か? そもそも、萌えとは何か。一言で定義するのは難しいが、高野氏は「かわいい女の子の喜怒哀楽を、離れた位置から“愛でる”」気持ちを指すようだと間接的に説明する。 萌えの構成要素としては、外見的特徴(下写真)や、「だにょ」「チェキ!」といった口癖、ドジですぐコケるなどの振る舞いが挙げられる。さらに、「妹である」「幼なじみである」など“主人公との関係性”も重要だという。 萌えるコスチュームには、メイド服、ナース服などさまざ
「ネット流行語大賞2007」のトップ3は「アサヒる」「スイーツ(笑)」「ゆとり」だった。07年、ネット界でよく使われたさまざまな言葉を、「はてなダイアリーキーワード」のアクセス上位からピックアップしてまとめた。 「2ちゃんねる」でよく目にした「自重」や、「ずっと俺のターン」などの“名言”、「弱音ハク」「亞北ネル」といった「初音ミク」の“派生語”、初期の「ニコニコ動画」で流行した「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」など、40語を選んだ。 「現代用語の基礎知識2008」に載った「はてなダイアリーキーワード」97語もあわせて紹介する。「それは仕様です」「能登かわいいよ能登」などが収録されている。 07年によく使われたネットのことば(リンク先ははてなダイアリーキーワード) CLANNADは人生
Macを新時代へといざなうOS――「Leopard」が変える未来:林信行の「Leopard」に続く道 第7回(1/4 ページ) 連載第6回目まで、Macの誕生から、激動の1990年代を経て、Mac OS X 10.4 “Tiger”に至る道のりまでを振り返った。 いまMacは、Mac OS X “Leopard”の時代に入りつつある。LeopardはMacの見た目も中味も大きく変えたOSであると同時に、2007年10月26日の販売開始から約3日間、最初の週末だけで200万本を販売した、アップル史上最も売れたソフトでもある。これでMacは一気に新時代に突入した。 Leopardは、ただTigerに300の新機能を加えただけのOSではない。第1にけた外れのパワーを発揮する64ビットアプリケーションを開発・実行できる64ビットOSであり、Core Animationなどの未来のアプリケーションを
録音・録画補償金やDRMのあり方など、著作物の意義や対価システムが見直されようとしている。消費者にしてみれば、もちろん補償金もDRMもいやだということだけははっきりしているわけだが、権利者の団体はそれによって著作権者の利益が守られるのだと主張する。 だがちょっと待って欲しい。権利者といっても、いつも議論の舞台に登場するのはJASRACを始めとする権利団体だ。本当の意味での著作権者である音楽家達は、補償金やDRMなどのことをどう考えているのかという話は、ちっとも伝わってこないのである。 これはどう考えても、議論の席に座る人のバランスとしておかしいだろう。その権利者団体が、果たして正しくミュージシャンなど芸術家の総意を代表していると言えるのかがはっきりしないことには、権利者団体と話し合いをして意味があるのかも、実はわからないのではないか。 実際のプロの音楽家が今日の状況をどのように考えているの
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