ミャンマーの最大都市ヤンゴンの中華街には、安くておいしい居酒屋が軒を連ねる通りがある。道路に張り出したテーブルで夜、やっと涼しくなった風を感じながら傾けるビールは格別だ。つまみを売り歩く行商人とのやりとりも楽しい。だが、困ってしまうのは物ごいの子供への対応だ。 幼稚園くらいの子供が、小学生くらいの先輩格に抱っこされ、手を出してくるケースが多い。いつも寄ってくるのは、連れのミャンマー人ではなく、外国人である私の方だ。 小銭を渡してしまえば楽だが、金は背後にいる大人のポケットに入り、同じことが繰り返される。心を鬼にする。だが、小さい方が手を合わせて額をこちらの靴に打ちつけてくると、ビールものどを通らない。 何組めかで根負けし、手元のくし焼きを渡してみた。先輩格は弟分にも分け与え、2人でその場で平らげた。礼も言わずに隣の外国人客に無心を繰り返していたが、彼らの栄養にはなったろう。そんな妥協策を繰