通常国会がきょう閉幕する。 150日間の会期を振り返って痛感するのは、民主主義の根幹である国会の議論が空洞化してしまっていることだ。 その責任は、巨大与党に支えられ、「1強」を謳歌(おうか)する安倍首相の慢心にある。 象徴的なのは、国会最終盤の「共謀罪」法案の採決強行だ。 自民、公明の与党は数の力にものを言わせ、委員会審議を打ち切る「中間報告」を繰り出して成立を急いだ。 首相や妻昭恵氏の関与の有無が問われている加計学園、森友学園をめぐる野党の追及から、身をかわすように。 ■「1強」のおごり 与野党の論戦を通じて、多くの国民が法案に抱く疑問や不安を解消する。そんな立法府のあるべき姿を無視した、数の横暴である。 1月、通常国会冒頭の施政方針演説で、首相は野党を挑発した。「ただ批判に明け暮れ、国会の中でプラカードを掲げても何も生まれない」 議論相手の野党を攻撃し、あてこする首相の態度は、国会終盤