「安くで買う」(安い値段で買う)という言い方を筒井康隆氏が多用していることについては、「執筆再開の筒井作品」で触れました。この言い方について、「めずらしい言い回し」と書いたとおりで、東京ではあまり耳にしません。 まれに、耳にすることはあります。私は大学院時代に、神奈川県出身の大学院生が「安くで」を使ったのを聞いたことがあります。「あなたのことばは、どこの地方のものですか」と聞くと、地元神奈川だということでした(その時周りにいた人は「安くて」かと思って聞いていた、とのことでした)。 しかし、どちらかというと、西のほうのことばでしょう。新聞にはあまり出ませんが、大阪版の紙面に次の例があります。 傘も最近は安くで手に入るようになりましたが、小さい頃は、傘を一本買ってもらうために、どれほどの手段を使ったことでしょう。〔兼保泰三・おしゃれむしぼしばなし〕(「産経新聞」〔大阪夕刊〕2003.06.03
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