「漫画の収集・保存なら国立の国会図書館がある。心配ないよ」。そんな言葉をよくかけられる。法律上は確かに、出版物の発行者は同館にすべて納本する義務がある。だが、みんなが決まりを守ってきたわけではない。蔵書数は日本一だが、戦後間もない頃の赤本や貸本漫画はほとんどそろっておらず、発刊初期の漫画雑誌や同人誌の数も少ない。せっかく所蔵されていても、漫画研究に不可欠なカバーや箱は廃棄されており、使い勝手の悪さから研究者にはあまり人気がない。 民間に目を移せば、貸本漫画の蔵書が充実した図書館はある。その代表が、内記稔夫館長の蔵書を中心に1978年に設立された東京の「現代マンガ図書館」。先日書庫を見てきたが、昭和20〜30年代の漫画がずらりと並ぶ本棚は圧巻。30年以上、漫画家やファン、出版社などに閲覧や資料提供などのサービスも続けてきた。 もう一つは、同じく個人の蔵書をもとにした福島県只見町の「昭和漫画館